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南へ行こう

私のファンタジー小説の原点は、指輪を巡る物語でもなく、戦乱の島の戦記でもなく、幸運を求める冒険者たちのお話です。

「そんな装備で大丈夫?」


「大丈夫だ。問題ない——多分」

 多分かよ!?



 リボるんこと、リボルゲイン。

 私のリアルの幼馴染であり、同門生であり、先程パーティーを組んだこの青年の職業は、軽戦士である。

 得物は1m30cmの片手槍。木の柄に青銅の穂先を付けただけの代物であるが、初期装備である竹槍よりかは当然ではあるが性能が上らしい。


 βテスターの特典はテスト期間中に入手したアイテムやスキルをソルに全て換金した上での正式版へのソル引き継ぎであるらしく、その大量のソルから少し切り崩して、青銅の槍を購入したらしい。

 なんでもっと良い、例えば鋼鉄製の槍を買わなかったのか訊いてみると、性能が良すぎると武器の強さであっさり倒してしまう為却ってスキル育成の効率が悪くなるから、らしい。装備とスキルのバランスは重要で、レアアイテムを十全に活かす為にレベル上げ、というのもスキル制のあるゲームでは珍しくないのだとか。

 なるほど、勉強になるなぁ。


 まあ、武器はいいや。問題は防具だ。

 頭には鉢金。手足に革製の具足を身に付けているが、これは戦士職の序盤の定番装備らしい。これもいい。だけど、その胴に身に付けた鎧はなんですか?

 ある種類の植物の幹を縦に割いた物を繋ぎ合わせ、胸と背中を守るように仕立てた品。動くと金属の物とは違い、「カランコロン」と良い音色で鳴るのが特徴か。って——


「竹アーマーじゃん!? それ!」


「いや、これは防具屋で買った特殊な植物を使ったブレストアーマーで、それなりに高かったんだぞ? 一応、防御力も店売りの軽鎧では高めで、+5もあるんだぞ」

 エェー、そんな運営が仕込ませたネタっぽい鎧がー?

「しかも、魔力への親和性が高い植物で、魔法武具を扱う職人に持ち込めば強化も出来るらしいしな」

 それ、竹アーマー+1……いや、なんでもないです。本人が気に入ってるなら、それでいいですよねー。



 現在、南門を通り、草原を一直線に抜ける街道沿いに立っている。


「装備の状態は?」


「出る前にメンテナンスして貰ったから問題なし」


「ポーション、薬品に水、食料」


「全部準備してある」


「調子は?」


「絶好調!」


 もう、いいでしょ。さっさと行こうよ。だいたい、それ訊くなら門抜ける前に訊くべきだし。なにより。

 うずうず、が止まりませんぞ!


「うし、行くぞ」

「よっしゃー! で、どこ行くの?」

 とりあえず、後ろをついて行きながら街道を歩いていく。

 ふと周りを見渡すと、草原に人人ヒトヒトひとひと、たまにMOB。

「すごい混んでるなー」

「まあ、開始二日目だしなー」

 初日はスキルロック騒動でまともに狩りをする人も殆ど居なかった為、翌日には遅れを取り戻そうとする人たちでいっぱいになっているんだそうだ。

「ちなみにお嬢のスキルレベルは現在のトップクラスだからな」

 へー、そーなんだ。

「どーでもいい、かな。トップとか」

 格上のMOBと戦ってれば上がるものなんだし。


 ところで、時折視線を感じるんですが。半分位はリボるんに向かってるけど。かなり剣呑な感じだけど、リボるん恨みでも買ってるんだろか。



 街道を歩くこと10分。

 周りの草原の植生が変わったようで、普通の緑色だった草原の色が少し青みがかったものに変わってきた。

「よし、次は西に向かうぞ」

 ……良かった。東の森に行こう、とか言われたら全力で逃げてたよ。


 あれ、初心者殺しの『魔獣の森』だし。



 街道を外れ、西へと歩き出す。

 こちらはどうやら西門側の荒野に近くなるせいか、草や低木が目立つようになり、また少し地肌も見えるようになってきた。


「さて、とこの辺でいいか。この先に出るのは2種類。斑模様の狼『スポットウルフ』と黒いうさぎの『デンジャーラビ』だ。こいつらは南側では数少ないアクティブで、そこそこ強い。しかも『スポットウルフ』は軽い毒持ちだからお嬢の肩慣らしと魔法の練習にはちょうどいいだろ」

 へぇ、そんなのいるんだ。


「んじゃ、お嬢。魔法——巫術だっけか。使ってみようぜ」

 ん、そだね。じゃ、


「起動——〈ハラエノミソギ〉」

 目の前に現れたモニターに書かれた通りの呪文、というより祝詞を唱え、地面を右手で叩く。シャーン、という不思議な響きと共に周囲に光のラインが走る。

 それは陣を描き、場を浄める神の法。


「更に、〈ナギノミカガミ〉」

 パリーン、と氷の板が割れる音と共に全身が光に覆われ、精神が穏やかに凪いでいくのが分かる。

 初めて使ったのだが、なんとなくだが効果が上がっているのが分かる。〈ハラエノミソギ〉の効果だろう。


 さて、次は……

「って、ありゃ?」


「どしたお嬢」

 リボるんの方へ向き、一言。

「〈ミノカミ〉、MPが足りないって。……一応、ゲージは3分の2位は残ってたんだけど」


「はぁ?」


《特殊巫術〈ミノカミ〉発動に必要なMPが足りません!》


【巫術】Lv.2

 天地万物に宿る神々から加護を授かる生命系統魔法。


〈ハラエノミソギ〉 Lv.1

 周囲を禊ぎ、瘴気を祓って浄化する。

 ・生命系統魔法の効果上昇

 ・不死系、魔法生物系の魔物を弱体化


〈ナギノミカガミ〉 Lv.1

 心身を凪いだ水鏡のように落ち着かせる。

 ・身体及び精神状態異常耐性上昇・小


〈ミノカミ〉 Lv.0

 見の神の加護を得る

 攻撃時に状態異常:毒・麻痺・睡眠・混乱・気絶のランダム追加の効果を一定時間付与




(※本文中のうさぎ、〈ハラエノミソギ〉の間違いを修正

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