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泣き入ります

お待たせしました。

 ぐいぐい攻めてくるフルフルさん。

 そんなに寄らないで下さいませんかね!?


 ——あ。


「よっし! サイズ測り終わっt——グベらッ!?」

「ふムグっ!?」


 あー、遅かったか。

 マルキューさんが脳天を押さえて転げ回り、フルフルさんは顎を押さえて蹲っている。

 私の足のサイズを測り終え立ち上るどころか跳び上がったマルキューさんの頭と、顔を寄せる為に体を前に傾けていたフルフルさんの下顎がごっつんこしたのだ。


 ……うん、あれは痛い。



「いちち、靴はゲーム内時間で明後日まで待ってね。他にも作らないといけないのがあるから」

 マルキューさんの頭にでっかいたんこぶが、ってなんだこの演出。殆んどがリアルな癖に、変な所でゲームっぽいなぁ。

 それはさておき、私としては作って戴けるだけでありがたいので、いつでも構いませんが。

「大丈夫です。楽しみにしてますね」

「うん! 頑張るよっ!」

 実に楽しみです。


 とりあえず、フルフルさんからの誘いに関してはひとまずお断りさせて戴きました。といっても、工房の一部を時々貸して戴く代わりに素材集めや生産などで協力する約束はしましたが。

 まあ、私は生産メインではないですしね。



「そういや、掲示板で話題になってる巫女さんって、お嬢の事だったんだな」


 ぐりん、と首を回して振り返る。

 掲示板……? 話題……?

「なんですか、それ?」

 リボるんの言葉が理解できないんですが。


「あれ、知らねぇの? メニューのシステムの所にゲーム内の交流用の掲示板あるじゃん。あそこでロリな巫女さん居たって話題になってるぞ」

 な、なにそれ!?

「初耳ですよ!?」

 慌てて、メニューを呼び出し、システム項目から掲示板をタップして開く。


 雑談スレや街歩きスレなどを見ていくが、出るわ出るわ。

「巫女さんハケーン」「かわいい!ハグしたい」「巫女さんは俺の嫁」などあちらこちらで話題に出ている。

 正直キモい位に関連レスがいっぱいあって、怖いんですが。

 そして、私はあるスレを見て崩れ落ちた。


【ロリ鬼】巫女さんを愛でるスレ11【こわかわ】


 ……まだ稼働して二日ですよ? 二桁ってどういう事?


 というかそもそもだいたい、


「私は18だぞ! 誰がロリだー!」


 ——ふう、思わず絶叫してしまった。

 あれ? なんでお三方は驚いた表情なんですか? ……あの、泣いていいですか?



 うふふ、いーんですよ。どーせ、私は身長低いし、身体の凹凸は少ないし、童顔ですよ。小学生に間違われたり、補導されかけたりも、日常茶飯事ですよ……あはー。


「ちょ、戻って! トウちゃんこっち戻ってきて!?」


 はっ! すみません取り乱しました。


「泣けるでぇ…」

 リボるんは、だ・ま・れ☆



「ところでお嬢、ステータス見せてくんね?」

 (私が)落ち着いた所で、リボるんがそんな事を言ってきた。

「なんでです?」

「単純な興味。今の所、巫女さん——メイデンだっけ?は、お嬢しかいないみたいだし、どんなのか知りたいしさ」

 なるほど。確かに他にいない、少ない職業というのは興味あるものかも。


 メニューからステータスを呼び出し、全ての項目をタップ。その後、可視化してリボるんや他の人達も見えるようにする。


「お嬢……」


「なんですか?」

「突っ込み所は、まあ、色々あるんだけどさ。称号とかスキルとか。それよりも、だ」

 あれ、溜息吐かれた?

「魔法、一度も使った事ないだろ」


「え?——うん」

 使ってない。使おう、試そう、と思ってて、すっかり忘れてた。

「なんで分かったんですか?」

 使った事がない、って簡単に分かる事じゃないと思うんだけど。

「魔法のトコ、見てみ」



【巫術】Lv.2《解放》

 天地万物に宿る神々から加護を授かる生命系統魔法。


〈ハラエノミソギ〉

 周囲を禊ぎ、瘴気を祓って浄化する。

 ・生命系統魔法の効果上昇

 ・不死系、魔法生物系の魔物を弱体化


〈ナギノミカガミ〉

 心身を凪いだ水鏡のように落ち着かせる。

 ・身体及び精神状態異常耐性上昇・小


〈ミノカミ〉

 見の神の加護を得る

 攻撃時に状態異常:毒・麻痺・睡眠・混乱・気絶のランダム追加の効果を一定時間付与



 うん、この宝の持ち腐れと必要性が微妙なのとバランスブレイカーっぽい魔法がどうしたの?


「各魔法の名称の横にレベル表示がないだろ」

 レベル表示? ……うん、ないね。

「でも、これがど」


「あるんだよ。各魔法にもレベルが」


 ——え?


「ただし、一度でも使わないと表示されないけどな」

 へ?


「しかも魔法自体のレベルは職業レベルに合わせて上がるけど、威力や効率なんかになんら影響しないんだよな。各魔法のレベルに依存してるから」


 えっと、

「それはつまり……?」


「魔法は使わないとレベルが表示されないから強くならない」


 おぉう、これは大失態ですだ。


「お嬢、しばらくソロ無しな?」

 う、え、そ、それは……


「返事は?」

「はい」


 逆らえませんでした。はい。

ステータスに変化がない為、表記なし。

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