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アンドロイドの憂鬱

 アンドロイドの憂鬱は、電気信号の波長の乱れだ。

 命令があった。ここで待てと。以来三百年、新たな命令はない。

 無人の廃墟となった街は緑の森に覆われている。この街のタワーであった場所に佇み、毎日アンドロイドは遠く地平線を眺めている。

 ある日、地平線に影が動いた。アンドロイドは注視する。拡大した視覚センサーに映る影は人の形を持っている。

 人影はこちらに近づいてくる。

 アンドロイドの喜びは、電気信号の波長の乱れだ。

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