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forget me not 2
――私を忘れないで
瓦礫の壁に書かれたその落書きを指でなぞると、煤が私の指先を黒く汚した。
火に焼かれた廃墟の中に、私は一人立っていた。
「……忘れるものか」
あの病が流行したのは、本当に人々の悪徳に対する神の罰であったのだろうか?
教会はこの病を悪徳の印と考えた。そして死者も生者も構わず建物へと押し込めると、悪徳を浄めるために火を放ったのだ。
足元に焼け朽ちた骨が転がっている。
骨の色は白い。
私は壁を殴った。
――私を忘れないで
瓦礫の壁に書かれたその落書きを指でなぞると、煤が私の指先を黒く汚した。
火に焼かれた廃墟の中に、私は一人立っていた。
「……忘れるものか」
あの病が流行したのは、本当に人々の悪徳に対する神の罰であったのだろうか?
教会はこの病を悪徳の印と考えた。そして死者も生者も構わず建物へと押し込めると、悪徳を浄めるために火を放ったのだ。
足元に焼け朽ちた骨が転がっている。
骨の色は白い。
私は壁を殴った。
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