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鼻中の蜘蛛
「痛っ」
僕の鼻の中に住んでいる蜘蛛が、内側から僕の鼻を噛んだ。
「どうしたの?」
急に鼻を押さえた僕を、彼女が不思議そうな顔でのぞき込んでくる。
「ううん、大丈夫」
僕は手で彼女を制止したが、そのときとろりとした生あたたかいものが鼻から垂れてきた。
「あっ、鼻血」
つつと垂れた血が僕の手を赤く染めた。彼女がハンカチを出す。
そこで蜘蛛が呟いた。
「鼻息を荒くなんかしているからよ」
蜘蛛が嫉妬している。
僕は苦笑した。
先日、朝起きたら突然鼻から血が!
慌ててティッシュで鼻を押さえていると、部屋の隅に小さなクモが歩いているのが見えました。
というわけで、こんな作品です。