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北へ
汽車は北へ走っている。
車窓に流れる景色は季節を遡り、既に私の中を過ぎたはずの花の色を蘇らせる。遠く見る山の尾根に残るのは、厳しい冬の色の名残か。
独り座る汽車の席は静かに線路を踏む音を伝える。後ろに置いてきたものを忘れさせるかのように、ただ汽車は北へ進む。
トンネル。
黒い車窓に私の顔が映る。
私は私と目を合わせ、その疲れた顔に笑いかける。
――こんな顔じゃ帰れない。
トンネルを抜けた。
汽車は北へ走っている。
汽車は北へ走っている。
車窓に流れる景色は季節を遡り、既に私の中を過ぎたはずの花の色を蘇らせる。遠く見る山の尾根に残るのは、厳しい冬の色の名残か。
独り座る汽車の席は静かに線路を踏む音を伝える。後ろに置いてきたものを忘れさせるかのように、ただ汽車は北へ進む。
トンネル。
黒い車窓に私の顔が映る。
私は私と目を合わせ、その疲れた顔に笑いかける。
――こんな顔じゃ帰れない。
トンネルを抜けた。
汽車は北へ走っている。
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