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黒い猫

 黒い猫と目があった。

 この猫は道端に佇んで、じっとこちらを見上げている。

「なんだお前?」

 近づいても逃げない黒猫に、私はしゃがみこんで声を掛けた。しかし黒猫は応える様子もなく、その黄色い瞳で私の顔を覗く。

「変な猫……」

 その言葉を遮ったのは高く鳴るブレーキ音だった。

 振り返る。


 トラック。


 衝撃とともに世界がひしゃげた。

 横転した視界に黒猫が私を見ている。

 そして笑うように目を細めると、路地の暗がりへ姿を消した。

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