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染み
「とりあえずここいらで勘弁してやるぜ」な、二百文字ホラー第十二弾
布団に入るとその染みが見える。天井に浮かぶ顔のような不気味な染み。私は気持ち悪いので横向きになって寝る。しかし私が寝入る頃、その音がいつも天井から聴こえてくるのだ。
人の息遣い。
目を開ける。音はしない。目を閉じる。人の息。目を開けると止む。私は憔悴する。
逃れるように布団をかぶり、耳を塞ぐ。
しかし息遣いは消えない。それどころか次第に近づいてくる。
枕元に生暖かい吐息。
夢だ。そう信じて私は長い夜を耐える。