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手
「よし、まだ怒られていないぞ」な、二百文字ホラー第十一弾
目の前だった。ホームに入ってきた電車に若い女が身を投げて、血肉がバッと弾け飛んだのは。
足元に千切れた手首が落ちた。赤いマニキュアをほどこした細い指の女の手。
それから私は駅へ近づかなくなった。あのとき私は見たのだ。ホームの下から手が伸びて女の足を掴み、走る電車へと引きずり込んでいくのを。
今、私の足首を女の手が掴んでいる。赤いマニキュアをほどこした細い指の女の手。
次だ。私がホームに立つことはもうない。