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出かけてるの
どこまでも走り続ける、二百文字ホラー第九弾
「あら、お嬢ちゃんお留守番?」
あたしが玄関に出ると、新聞屋さんのおばちゃんはちょっと驚いた顔をした。
「お母さんはいないのかしら?」
「お母さんは出かけてるの」
「そう。仕方ないわね、また来るわ」
本当は家にいる。でも嘘は言ってないわ。お母さんはちょっと出かけているだけって、お父さんが言ってるもの。
だけど、お母さんの身体はカラカラに細くなっちゃって、戻ってきたら大変そう。
お母さん、はやく帰ってこないかな。