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鏡越し
大量産の二百文字ホラー第六弾
着替えの最中の事だ。あたしは鏡の中でそれと目があった。
鏡には向かいの部屋隅に置かれたタンスが映っている。そのタンスと壁の僅か五センチ程の隙間に人の顔があった。
あたしは息を飲んだ。声が出ない。その顔は色のない目で鏡越しにあたしを見ている。幻覚だ。振り返れば消える。そう思うのに身体が動かない。その時だ。
それが手を出した。
タンスの縁を掴む。出る。出てくる。なのにあたしはまだ振り返ることができないでいる。
大量産の二百文字ホラー第六弾
着替えの最中の事だ。あたしは鏡の中でそれと目があった。
鏡には向かいの部屋隅に置かれたタンスが映っている。そのタンスと壁の僅か五センチ程の隙間に人の顔があった。
あたしは息を飲んだ。声が出ない。その顔は色のない目で鏡越しにあたしを見ている。幻覚だ。振り返れば消える。そう思うのに身体が動かない。その時だ。
それが手を出した。
タンスの縁を掴む。出る。出てくる。なのにあたしはまだ振り返ることができないでいる。
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