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木の瘤

二百文字ホラー第三弾

「あの瘤、人の顔に見えない?」

 娘が庭の木を指して言った。言われれば膨らんだ木の瘤が人の目鼻のように見える。

「どこかで見た顔だなぁ」

「気のせいだよ」

「あ、お母さんの写真に似てるのかな」

 私の背筋がピクリと動く。それを見て娘が笑った。

「大丈夫だよ。生まれてすぐのあたしを置いて失踪したお母さんなんて、なんとも思ってないから」

 あの木の下に埋まっているものがなんであるか。あの女は忘れさせるつもりはないらしい。

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