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雪女

 雪女を見た。

 峠の道でのことだ。足元も見えない程の酷い吹雪に遭った。白一色の視界の中、私は手探りに道を進み続けていた。

 小屋はもう近い。だが……。そんな弱気が頭に浮かんだ時である。

 女の薫りがした。

 雪よりも白い肌をした女が私の顔の横にいた。

 女は微笑み、紅色の唇で私の耳に息かける。

 熱が生まれ、消えた。

 急激に体温が失われ、私はその場に崩れ落ちる。

 女はもういない。

 凍る肌の下に女の影の熱が残る。

 私は雪女を見た。

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