あなたの愛がなくても、私があなたを愛します
初作品です…ただ書きたい欲のまま書いたので誤字脱字やおかしい文書などなどたくさんあると思います。どうか、あたたかい目でお付き合い下さい…!
「え、ごめん、もう一度言ってくれる?」
男は、その整った顔に困惑と驚きの表情をのせ、聞き返す。
「ですから、今後も今の恋人と関係を持ち続けてもかまいませんし、私を愛さずともかまいません。ただ、初夜は検査を受けてからにして下さいませ。何の病気を移されるか分かりませんから」
ーーー
ここはある伯爵邸の一室。本当なら、婚儀を終え夫婦となった男女が初夜を迎えているはず。にも関わらず、その夫婦となったであろう夫は、妻の服を脱がそうと伸ばした手をそのままに硬直し、妻となった女は正座し男を見据えている。
まさか、初夜を拒まれるとは思っていなかった男、ブライアン・コールドは、急に頭に入ってきた情報を整理したくも告げられた内容を理解できずにいた。
『いやいやいや、ちょっと待って。愛さなくてもいいって、今話題の小説の謳い文句である、お前を愛することはない、に対する新しい謳い文句なのかなっ?それに、初夜は検査をしてから?検査ってなんの、え、もしかして僕にあの検査をしろって言うの?その前に、恋人との関係を続けていいって…愛人を容認するってこと?そもそも、恋人がいること知ってて、この結婚を受けたんだ?普通、僕みたいなナイスガイが夫となれば、その愛情を独り占めしたくなるものじゃないの?自分で言うのもなんだけど、顔良し、頭良し、性格良しで申し分ない夫だよね‼︎それを、愛人を持っていいなんて、そんな嬉しいことってあるのかな』
とまぁ、妻の衝撃発言から、クズ思考をしているこの男は、まぎれもなく世間でいうプレイボーイである。
金髪碧眼、柔らかく癖っ毛な髪は風が吹けば、ゆらゆらとその端正な顔をより一層引き立てる。程よく筋肉がつき、すらっと男らしい体格は扇情的だ。
たまに短絡的ではあるが、学園での成績も悪くはなく、いつも女性を丁寧に扱う紳士的な態度は、彼の容姿をさらに際立たせ、貴公子そのものであった。
そして、物心ついた時から、女性の方から声をかけられモテモテだったこの男が、性に奔放なのは言うまでもない。
そんな男が、恋人とは隠れて逢瀬を続けるつもりだったが、少し自重せねばと考えていた矢先の妻の発言である。表情は真剣さを保とうとしているが、口元がピクピクと弧を描くのを抑えられないのは仕方ないのかもしれない。
「ということは…?僕は今の恋人と別れなくてもよくて、なんなら他の女性と関わるのも咎めないということで合ってる?」
「ええ、合っています。旦那様の自由になさって下さい。」
「凄く魅力的な話だと思うけど、何か裏があるとかじゃないよね?あとから離婚を有利に進めるために…」
「いえ、そんなことはしません。もし、するなら黙っていますもの。」
「だよね。…じゃあどうして?」
「政略結婚じゃないですか。愛する相手がいるなら、それを引き裂くことは致しません。好きな方と会えず、家の都合で結婚させられてストレスを溜められるよりは良いかなと思ったまでです。」
そう淡々と告げるのは、コールド伯爵の妻となったリリアナ・コールド。ブラウンの瞳からは嘘は感じられず、ブライアンに対して今宵の初夜への期待は見られない。豊かな栗色の髪は固く後ろで結われており、まるでその意思を示すかのようだ。
ブライアンもこの政略結婚に愛や恋情がないことは理解している。となると、この結婚で大事なことは、後継ぎを作ることである。なので、初夜ができなければ子もできない。そうなれば、今日はもう寝るしかない。それくらい、ブライアンにとって、リリアナとの結婚は事務的なものでしかなかった。
「うーん、色々びっくりすぎてなんと答えたらいいか…。とりあえず、今日は休んでもいいかな、まだ頭の中を整理できてない。また明日、ゆっくり話そう」
「ええ、そうしましょう…おやすみなさいませ。」
「…おやすみ」
…拍子抜けだ。
婚約した時から、何を考えてるか分からなかったけど、まさかあんな発言をするとは。
恋人のアリアとは別れる気はなかったから、政略結婚の妻に対しては、後継ぎができればいいかなくらいにしか思ってなかった。なんなら、どうして、色気も可愛げもない相手と…と不満に思っていた。貴族だから、家のために仕方ないと気持ちに蓋をして臨んだ今日、そして先ほどの出来事だ。
否、妻も決して可愛くないわけではないが、いつも口数が少なく地味な装いなため、パッとせず、派手に遊んでいたブライアンからしたら、抱きたい、と気持ちが高揚する相手ではなかった。
結婚生活が荒むであろう気持ちが、一気に喜びに満ち、恋人に会いに行きたいという衝動を抑え、ブライアンは落ち着かないままベッドにはいる。眠りにつくころには、これからの恋人との時間しか考えられなくなっていた。
ーーーー
「奥様、昨日はお休みになれましたか?」
「えぇ、おかげさまで。ゆっくり休めましたわ。」
「それにしても奥様、身支度等は私たちメイドがしますので、朝起きたら呼んでください。私どもの仕事がなくなってしまいます。」
そうリリアナの専属メイド、アンナはお茶をカップに注ぎながら話す。
「ごめんなさい、アンナ。つい癖で…でもあなた達が私に合わせるのは大変でしょう?これまでと同じでいいわ。」
リリアナの朝は早い。日が昇る前に起き出し、軽くお茶を飲んだ後に、読書や刺繍を行い、晴れてる日は庭を散歩する。そして、朝食を取った後に執務へ入る。
執務の大半は父親が行なっていたが、リリアナの実家であるペイン子爵家は、もとは商家であった。リリアナの祖祖父が非常に優秀で、戦後、財政が傾きつつあった国へ貢献したと評され爵位を得たのである。
そんな商人の気質を受け継いでいるからか、リリアナもまた、父の執務を手伝い、必要があれば商談も行っていた。仕事中心の生活をすれば、自分の時間を得るために必然的に早起きになったのである。
「そうはできませんよ、だって伯爵夫人になったんです、ね、奥様?」
からかい口調でアンナが返答する。貴族に対してそのような態度を取れば、普通ならば不敬と咎められるが、アンナはリリアナが連れてきたメイドである。リリアナが幼少時から世話しているため、もう家族のようなものだ。
「その奥様っていうの、2人の時はやめられない?それに、朝の件は大丈夫、私が皆に伝えるから。だって、その時間は私に取って唯一寛げる時間だし誰の邪魔もされたくないの。そこは譲れないわ」
そう頑なに意思を述べれば、アンナも受け入れるしかない。昔から頑固なのは変わらないんだから、と表情が物語っているアンナを尻目に、優雅にお茶を飲む。
リリアナにとって朝は、身体精神衛生を保つために必要なのだ。ましてや、政略結婚で嫁いできたこの家で、その時間は絶対に必要だ。
その原因である、夫とこれから昨日の続きを話す予定であるのだが、まだ夫は現れない。夫の朝食後に話したいと執事へ伝えて、執務室横の客間で、夫を待っているところである。
『昨日のあの様子から、恐らく話し合いの後に恋人のところにでも行くため、念入りに身だしなみを整えているのでしょうね。』
リリアナは、昨日の夜に告げた時の夫の間抜けな顔を思い出し、くすくすと笑うのであった。
それから30分ほどして、夫は客間に現れた。
服装は思った通り、お出かけ仕様である。
「待たせて申し訳ない。君の朝はとてと早いんだね、メイドから聞いてびっくりしたよ…と、早速だけど、話に入っていいかい?聞きたいことが山ほどあるんだ。あ、君たちは下がって」
夫はメイドにお茶を入れさせた後、人払いする。
「まずは、なぜ、君が昨日のような発言…考えになったか聞いてもいいかな?」
そう、まずはそこからですよね、と頷きリリアナは話し出す。
「私のこの考えは、両親からきてますね。両親も政略結婚でした。貴族なら当たり前、家のため国のためには必要ですもの。そして、その母には結婚する以前から親しくしている方がいましたが、勿論一緒になることはできず、その想いは胸の内に秘めることとなったのです。けれど、両親の仲は私から見ても不仲なわけではなく、お互いを尊重しているように見えました。ただ、母が亡くなる少し前に私に話してくれたのです。貴族であるからには政略結婚は覚悟しなさい、勿論、お慕いした方と結婚できるのが一番だけど、貴族の義務を忘れてはいけない。けれど、誰かを想う気持ちは否定できないしそれは、とても素敵なことだと…。だとしたら、政略結婚という貴族の役目を果たすのであれば、私たち夫婦も想い人くらい、いてもいいのではないかと思ったのです。」
そうリリアナは話す。その口調は相変わらず淡々としていて、表情からも何も読み取れない。貴族子女としては完璧な姿である。
「君の考えのルーツはなんとなく理解した。では、あなたにも想い人が…?」
「いいえ、いません。それに作るつもりもありません。」
ふむ、とブライアンは顎に手をあてる。腑に落ちない、そんな上手い話があるのかと訝しげにこちらを見ている。
「私にとって大事なのは、家族の生活です。今回の結婚は、お互いの家の利益になると判断されて行われました。互いの家が今後も存続していくためには、私たちの結婚生活が継続されなければなりません。私は争い事が嫌いです。夫に恋人がいることくらいで揉めたくないですし、家庭内に恋人問題を持ち込まなければ、外で何をしても気にしません。政略結婚ですから、愛はなくても良きパートナーになれれば良いのではないでしょうか?」
「確かに、僕にとってはとても美味しい話だよ。でも、君は本当にいいのかい?僕が外で恋人と会ってると考えても何も思わないの?」
「はい、ここで私を尊重してくれれば、それ以上は望みません。ブライアン様にとっても、悪くないお話でしょう?」
そうなのだ、そうであるのだけど…
何故、こうも釈然としないのか。妻公認の愛人である、嬉しくないはずがない。
ただ、ブライアンは認めたくなかったのだ。これまで女性に対して百戦錬磨の自分が、唯一の妻を落とせないでいる事実を…。
頷きながらもうーん、と唸っているブライアンを不思議そうにリリアナが見つめる。
「何をそんなに考えていらっしゃるのですか?」
「いや、話が上手すぎるし、なんかこう、あの…」
ブライアンが口籠る。
少しでも愛人を気にして欲しい、なんてこと百戦錬磨のブライアンに言えるわけない。それに、腐っても貴族である。何事も上手い話だからと飛びつかないよう幼い頃より教育されているからか、なかなか首を縦に振らない。
「では、契約書を作りましょう。この件に関してお互いが望むことを明確にするのです。そうすれば、あなたも安心でしょう?」
有無を言わさないリリアナの表情と口調に、ブライアンはこくりと頷くしかできなかった。
ーーー
おかしい、何かがおかしい。
今、目の前の妻は嬉々として、愛人に関する契約書を作成している。
普通、逆ではないか…愛人を持つ自分が妻を言いくるめて認めさせるようなものを…
「では、読み上げますね。
一、愛人はコールド家の籍に入ることは許されない。つまり、万が一、子ができても愛人を妻、その子をコールド家の子息子女と認めない。
二、最低、週に一度は伯爵邸で過ごす家族の時間を作ること。
三、妻公認の事実は伏せるべし。
四、妻、リリアナは愛人関係で離婚を持ち出すことはできない。
五、愛人との問題は家庭に持ち込むべからず。
自分で解決せよ。
六、公務、社交界へのパートナーは妻以外認めない。
七、デート、プレゼント費用は個人資産から出す。
以上を守れなかった場合、それまでの関係を清算することとなる。
うーん、こんなものでしょうか?他に何かありますか?」
やや内容がリリアナ優位な気もするが、愛人を作っても良いと言っているのである。そこは仕方ない。
「三については、あなたが許可していることを話さなければいいんだね」
「ええ、だって他の男性からしたら羨ましい事でしょう?妻以外も愛していいなんて…それを公然とひけらかしていたら、私の妻は融通が効かない、などと夫人達が責められる状況は避けたいもの。社交界で私の立場が悪くなるのも避けたいわ」
『なるほど。さすが商人気質というのか、自分に利益あるよう進めるその手腕は見習うべきかもしれない。愛人を許す代わりに、家と外での自分の立場を確保する。もし、愛人が伯爵夫人を欲しがっても、子ができたとしてもそれは、僕自身で解決すべきこと…これは、色々気をつけないといけないな』
遊び人のブライアンである、これまでも子ができないようしっかりと避妊はしてきたし、後腐れない相手を選んできたつもりだ。そんな、ヘマは絶対しない、と心に刻み、愛人の元へ向かうブライアンの顔はどこか物思いに耽っていた。
ーーー
「ブライアン、あぁ、会いたかったわ」
「愛しのアリア、待たせてごめんね。今日はゆっくり君と過ごせるよ」
「あら、結婚翌日に奥様をほっといていいのかしら?悪い人ね」
そうアリア言いながら、自分の胸に顔を埋めるブライアンの髪を撫でる。
「どうせ愛のない結婚さ、僕の奥さんは僕に全く興味がないみたいで。僕には君だけだよ」
ブライアンはアリアの服に手をかける。このもやもやした得体の知れない気持ちを晴らしたかったブライアンは、アリアの柔らかいその身体を夢中で暴いていく。アリアも嬉しそうにそれを受け入れ、そっと呟いた。
「私もあなただけよ、あなたの全ては私のものなのだから」
その言葉に深い意味があるなど、ブライアンは分からず、ただ彼女を抱き続けた。
ーーー
それから、リリアナはコールド家で優雅で充実した生活を送っていた。女主人として家の管理を行い、夫が留守の際は、執務の補助を行い、リリアナが婚前より取引している相手と商談を行う。
始めのうちは、執事のトリスや執務の補佐をしているポール男爵家のウィリアムから、リリアナが関わることに難色を示されていたが、リリアナの優秀さを目の当たりにし、今では違和感なく執務に携わっている。
それもそのはず、リリアナとブライアンの結婚はブライアンの伯爵としての力量不足を補うために結ばれたのだから。
コールド前伯爵は、病気がちになり己の先が短いと悟ると、女遊びにうつつを抜かす1人息子が継ぐコールド伯爵家の未来はないと考えた。学園では優秀さを示していたが、それだけである。よくあるペーパーテストは得意だが実践となると応用できない。妻を早くに亡くし忙しさから、息子とまともに関わってこなかったことを後悔した時すでに遅く、息子を更生する間もなく、前伯爵はこの世を去った。ただ幸いに、リリアナとの婚約を早々に取り付けていた。学園での成績優秀、実家の執務を手伝い商談にも顔を出す、そんな彼女の噂を聞きつけていた前伯爵の迷いはなく、すぐに婚約の打診をした。ペイン家でもリリアナが担当していた事業への資金援助と、伯爵領のある植物に目をつけていた子爵が、植物の販売の独占権を求め、利害が一致したことで婚約が整ったのだ。
コールド前伯爵は、まさか領地に国外ではある薬草として需要がある植物が生息しているなんて…と気づかなかったことを口惜しがったが、リリアナの伯爵家が存続するよう尽力すると誓ってくれたことを信じ、コールド家の未来を任せることにしたのだ。
そのような経緯でリリアナは婚約してから、コールド前伯爵を訪ね、見舞いと称してコールド家の実務について簡単に説明されていたのである。その訪問する度に、リリアナは使用人と挨拶を交わし顔馴染みになった。今では、それが功を要して、すっかりコールド伯爵邸の女主人として問題なく携わっている。
自分が過ごしやすいよう婚前より計画的に伯爵家と関わっていたなんてことは、ブライアンは勿論、知らない。
『ブライアンは相変わらず愛人宅へ通っているのね、そのマメさを執務にも活かしてくれたらいいのだけど…まぁ、今のところ問題ないのだから、このまま、私の平穏を維持できたらいいわ』
リリアナは、いつもの朝の散歩をしながら思う。
結婚してから、ブライアンと揉めることなく過ごしている。たまに帰ってきて夕食を一緒にとり、同じ寝室で眠る。勿論、何もない。
ブライアンから寝る前に問いかけられたことがある。
「ねぇ、君はこのまま僕に愛されなくてもいいのかい?長い結婚生活、愛もなければ寂しいじゃないか」
「では聞きますが、あなたは私を愛してるのですか?」
「それは…僕には恋人が他にいるし」
罰が悪そうにブライアンは言う。
「人を愛することは素敵なことです。それがどんな形であれ。私はあなたの愛情を求めなくても、今の生活が送れれば十分です。とても幸せですよ、ブライアン様」
その時のブライアンの顔を思い出すだけでおかしくなる。捨てられた子犬のように眉毛を下げていたのだ。今更、何をそんなに悲しそうな顔をするのか。
『私はブライアン様から寵愛されることなど望んでないし、きっと、あの方には無理でしょう。この伯爵家が安泰であればそれでいいのですから』
今の平穏な生活を守るために、恋多きブライアンに愛人を許しているのだ。ブライアンも恋人で満たされるし、リリアナも好きな仕事、時間を過ごすことで満たされている。今はリリアナの大事な家族、時間を守ることが、リリアナにとって最重要事項なのである。決して、夫の愛だけが重要なのではない。
ーーー
ブライアンは王城での仕事を終え、伯爵邸に帰る。執事のトリスが迎え、夕食の席へと案内された。
最近はこの伯爵邸の雰囲気が柔らかくなったと感じる。父上がいるころは、仕事に追われた父が僕にかまうこともなく、使用人も必要最低限の仕事と関わりしかなかった。
けれど、リリアナが来てからは、玄関に花が添えられていたり、リリアナとの食事の際は料理長が同席しリリアナが料理長と意見を交わしていたり、庭師が新しい花や木を植えていたり…特に、使用人の表情である。別に雑談をするわけではないが、以前は自分に向ける視線が冷たいものだったのだな、と思えるほどに変わっている。勿論、僕に対して笑顔を見せるわけではないのだが…
「あら、ブライアン様、おかえりなさいませ」
リリアナがふわりと笑う。
「…っ、夕食に間に合って良かった」
ブライアンは、喉まで出かかった、ただいまの一言を飲み込む。それを言うには、なぜか恥ずかしい気持ちがあった。
彼女がそんなふうに笑うようになったのは、いつからだろう。
パッとしないと思っていた容姿も今はこの場にとても馴染んでおり、彼女を見ると、ほっと息をつきたくなった。
今までは仕事のストレスを感じると愛人宅へ直行し、彼女を抱き愛を囁き合うことで癒されていた。
しかし、最近はアリアを抱いても性欲は解消するが、どこか満たされていない自分に気付いていたし、伯爵邸に帰って来た時の方が、ほっとしている自分に戸惑っていた。
『この前、アリアが建国パーティでパートナーとして行きたいと提案してきたから。そんなことしたら、誓約違反になるし、きっとそれでアリアから足が遠のいているに違いない』
ブライアンは自分の変化に対して無理やり理由をつけるのであった。
ーーー
建国パーティ当日、ブライアンはリリアナをエスコートし入城した。
結婚してからリリアナをエスコートするのは初めてではないが、王城で行われるパーティということもあり、いつもより華やかにドレスアップしていて、とても似合っている。
きれいだ、とつい口に出した時は、そんなこと妻に言ったことなく恥ずかしくなったが、リリアナが、「ふふっ、ありがとうございます」と目を丸くしたあと、いつものようにふわりと笑うのだから、この笑顔が見れるのであれば悪くないかな、と不覚にも思ってしまった。
パーティ中、リリアナに挨拶するため色んな人が声をかける。こんなにも、人脈を広げてたのかと驚いた。その反面、僕には職場で顔を合わす人たちしか挨拶できないことに、ネガティヴ方面に驚く。追い討ちをかけるように、「リリアナ様とこうして挨拶できて良かったです。伯爵夫人としてパーティに来られるか懸念しておりましたから」と、面識のなかったリール侯爵が放った言葉に、冷や汗が止まらなくなった。愛人を連れてこなくて良かった、と遠回しに嫌味を言われ、自分への風当たりの強さを痛感する。
『他の貴族にも愛人の1人や2人いるだろうに、何故こんなにも僕に対する視線が痛いんだっ』
新婚時期より愛人宅へ入り浸れば噂にもなるし、リリアナの事業の手腕を知れば、無能な旦那といわれるようになるのは、仕方ない。
「ブライアン様、お顔色が悪いですね。挨拶も大方済みましたし、今日はもう帰りましょう」
リリアナの提案にありがたく従う。
パーティ会場を抜けて馬車乗り場へと歩き出そうとした時、柱の影からふっと人が現れた。
アリアである。
「ブライアン様、こんばんは。そちらの方は、奥様ですか?いつもブライアン様にはよくして頂いてます」
と挑戦的な目をしてアリアはリリアナに言う。
「こんばんは、アリア様、初めましてですわね。いつも主人を癒して下さりありがとうございます」
アリアは大きく目を見開く。自分の嫌味が通じてないことに顔をしかめる。
「そ、そうですわ。お疲れのブライアン様はいつも仰ってますのよ、私が唯一の癒しだと」
「本当にその件に関してはありがたく思っています。おかげで、私も伯爵家に来てからとても穏やかに過ごせていますの」
普通なら強がりと取っていいのだろうが、リリアナは本心から言っている。そんなリリアナを見てアリアは怒った顔を隠すように手に持っていた扇子を広げる。
「あなたっ、ブライアン様が本当に愛しているのはこの私ですよ、それなのに、妻の座についているのは図々しいのではなくて?」
もうやめてほしい。こんなことしたってリリアナはノーダメージなのだから。その事実にやや傷付いている自分は、どうかしてしまったのだろうか。
アリアは、寵愛を受けてるのは自分だとリリアナに示し優位に立ちたいのだろうけど、無意味だ。それより、愛人問題を持ち込んだことにより、誓約違反になることの方が今は重要である。
「ちょっと、聞いているのっ?」
アリアがリリアナに詰め寄る、と同時に僕は無意識にリリアナとアリアの間に入り、リリアナを背後に隠していた。
「オルコットン嬢、ここは人目もあります。また後日、お話致しましょう。妻の体調もよろしくないので」
アリアは事務的な態度に驚き、瞳が揺れる。
では、と僕はリリアナを抱えるようにしてその場を後にする。背後では、怒りに震えるアリアの姿があるが、視線を送ることなく馬車に乗った。
「良かったのですか?彼女、泣きそうな顔をしていましたよ」
「彼女には…きちんと話をする。今回のは契約違反になる?」
「いいえ、彼女と問題を解決して下されば違反にはなりません」
「分かった、きちんと対処するよ」
ブライアンは、馬車で眠りについたリリアナを見つめる。慣れない場で疲労も大きかったのだろう、馬車に乗りしばらくすると窓枠に寄りかかり寝息を立て始めていた。
ブライアンはそんなリリアナを見つめながら、自分の胸に芽生えた感情に戸惑っていた。
『愛しい、、これがその感情だろうか…』
さっきは無意識のうちにリリアナを愛人から庇ったが、これまでのブライアンからすれば考えられなかった行動だった。これまでも恋多き男、ブライアンを挟んで女性同士が揉めることはあったが、どちらにも味方はせずに穏便に片付くよう終わらせていた。
だが、今回は妻を優先したのである。愛人問題によりリリアナとの結婚生活を終わらせたくない一心の行動であった。
となれば、リリアナとの結婚生活を維持するためには、愛人問題を家庭に持ち込むわけにはいかない。すでに今日、アリアが直接関わってきたのである。早めに解決せねばならない、とブライアンはリリアナを見つめて心に決めるのであった。
ーーー
それから、ブライアンの行動は早かった。アリアに今回の行動は愛人としての行動から大きく逸脱していたこと、リリアナとの夫婦生活を終わらせる気はさらさらないことを説明し、別れを告げた。最初のうち、アリアは納得できないと拒否していたが、ブライアンの気持ちが固いと知ると承諾してくれた。一悶着あると思っていたブライアンからすれば、ほっとしたのは事実だが、胸の中では小さく不安が渦巻いていた。
そして、現在、ブライアンとリリアナは邸宅の庭を散歩している。
リリアナにアリアと別れたことを告げ、「そうなんですね、大丈夫なのですか?」と聞かれた。誰が何がとは敢えて聞かずに、ブライアンは「大丈夫、アリアも納得してくれたから」と返し「そうですか」と返される。それだけだ。
ブライアン的には、もうちょっと興味関心、欲を言えば喜びを示してほしいとこだが、初夜に爆弾発言をしてきたリリアナである。期待するほどブライアンも馬鹿じゃない。
『これから、少しずつ挽回していけばいい』
そんなことを考えて、邸宅に戻ると、何かガヤガヤとホールが騒がしい。嫌な予感がして足を速める。
「何を騒いでいるんだ?」
「旦那様っ!それがっ…」
執事が言うより先に、髪を振り乱したアリアがブライアンの元へ駆けようとする。
なぜ、許可もなくアリアが邸宅にいるのかそれを聞く暇もなくアリアが叫ぶ。
「ブライアン、あぁ、ブライアンっ‼︎
ねぇ、やっぱり別れるなんて嘘よね、そこの女に何が弱みを握られてるんでしょう?」
「アリア…どうして、、いや、君と話すことはもうないよ、この前伝えた通りだ。…お引き取り願おう」
「嫌よっ!私が本当は伯爵夫人になる予定だったのに、それをそこの女がっ!ブライアンに愛されてもない癖にっっ‼︎」
アリアがリリアナを指差して叫ぶ。それを聞いた使用人が顔をこわばらせ、アリアを鋭く睨む。
これ以上、事を大きくしたくないブライアンは近くの護衛騎士に連れて行けと声をかける。
騎士はアリアの腕をつかむが、素早くそれを避け駆け出す。騎士の腕を掻い潜るとは思ってなかったブライアン達は油断した。
アリアはリリアナへ詰め寄り胸ぐらをつかむ。リリアナは予想していたのか冷静だ。
「アリア様、落ち着いて…っ」
しかし、予想以上にアリアの力と勢いが強かったのかバランスを崩す。
2人一緒にリリアナの後方へ倒れかかったその先は花瓶が置かれてる石柱だった。
騎士もブライアンも止めようと動くが間に合わず、リリアナはスローモーションのように石柱に頭をぶつけた。
「リリアナっ‼︎」
ーーー
それから半日過ぎ、リリアナは目を覚ます。
目を開けると、そこにはブライアンがリリアナの手を握り顔を真っ青にして座っていた。
「リリアナっ、どう?気分悪くない?頭は痛くないかい?」
頭に鈍痛を感じるが、それ以上は特に問題ないリリアナは、ひとまずブライアンを落ち着かせ、倒れてからのこれまでの経緯を聞く。
リリアナは軽い脳震盪を起こしたが、幸い頭に傷はできず医師からは一日安静の指示が出た。アリアは伯爵夫人に危害を加えた罪で地下牢へ拘束された。危害を加えるつもりはなかったらしい。ただ、アリアは、もしかしたら、ブライアンの気の迷いかもと会えばもう一度考え直してくれると思い伯爵邸まで来たが、リリアナの態度を見たら感情が抑えられず咄嗟にあんな行動をした、とブライアンは話した。
「僕が…僕が甘かったんだ。納得してくれたと思っていたけど…あんな風に追い詰められているとは思ってなかった」
「そうね、一方的に告げられ彼女も混乱していたのでしょう」
リリアナのブラウンのまっすぐな瞳を見つめると自分の情けなさが湧き出てきて、今までの行いに対して後悔の念が押し寄せてきた。
全て、女性を蔑ろにしてきた自分が悪いのだと言われているようだった。いや、事実そうなのだ。自分の欲のまま女性と遊んできた。自分と寝れることは僕に擦り寄ってくる女性にとっては喜ばしいことなのだと驕りがあった。どれほどの女性が涙を飲んだのかブライアンは知ろうとしなかった。その慢心な行動が、今まさに自分に返ってきてると考えても否めない。
「アリアとは、きちんと話す。今回のことは全部、僕の責任だと思ってる。だから、彼女の罪は問わずに解決できればと思ってるんだけど、君の意見を教えてほしい」
当事者を抜きには決められない。そう、ブライアンは呟く。
リリアナはブライアンを見つめる。
「…私はこうして無事ですし、彼女を恨んでもいません。ただ一つ我儘を言うならーー」
ーーー
リリアナは地下牢にいるアリアと対面していた。
そう、リリアナはブライアンにアリアと2人で話したいとお願いしたのだ。初めはブライアンは渋ったがリリアナの滅多にない強情ぶりに負け今に至る。
「何しにきたの?私を笑いにきた?さぞ優越感でいっぱいでしょうね、旦那の愛を奪っていた女の行き着いた先を見に来たのでしょう?」
リリアナは何も言わない。アリアは続ける。
「何よ、その顔は‼︎‼︎虫も殺せないような顔して、本当は頭の中で笑ってるんでしょう?ふんっ、どうせ私なんかっ、恋人にも選ばれなかった没落した貴族にすぎない負け犬よっっ‼︎
っつ、うぅ…」
目に涙を溜めながら叫んでいたアリアはついに泣き出す。それほどブライアンを愛していたのだ。
「そこまでブライアンを愛してたのね。でも、私はブライアンと離婚する気はないの。これだけは譲れないわ」
「どうしてっ…あなたはブライアンを愛してはいないでしょう?」
「あい、愛、そうね…愛してるとはっきりは言えないわ」
リリアナは考えを確かめるように話す。
「彼をあなたのように、恋人として愛してるとは言えない。けれど、愛には色んな形があるでしょう?私は、彼を家族と思ってるし、これからも家族として接していくつもりよ。そこに、どんな愛の形があるかは分からないけど、夫婦となったからには、家族として愛する必要があるの」
「そんな義務みたいに…」
「私たちは政略結婚だから当たり前だわ。愛人がいようと外で恋愛しようと、人を好きになる気持ちはコントロールできないのだから、貴族の結婚で縛られるのなら、それくらい心の自由があってもいいと思わない?」
「え……いや、そうなのかな…あなたの考えは…凄く凄く珍しいし理屈は分かるけど理解は難しいわ…」
アリアは珍獣でも見るような目でリリアナを見つめ黙り込む。
『初めてそんな考え聞いたわ…いや、もしかしたらそう割り切って結婚する場合も少なくないかもしれないけど…でもこんな突飛な考えしている人に、敵うわけないじゃない!』
「ふぅ…おかしいわ、そんな考え方聞いたら自分が愛だのなんだのって言ってるのが馬鹿馬鹿しく思えてきたわ。ブライアンだけが男じゃないし、なんならもっと良い男、世の中にはたくさんいるもの」
アリアは窓枠から青い空を見つめて言う。
何かすっきりした表情だ。
「次は誠実な人と出会えばいい。そして、たくさん恋をすればいい。そうすれば、きっと人生豊かになるはず」
リリアナが言う。その表情は人生何十年も生きてきたかのように凄く説得力があった。
「…リリアナさんは、誰か恋焦がれるまで好きになったことがあるの?」
「…あったわ。とても愛していた、けどそれは前の場所に置いてきたから」
そう呟くリリアナは、地下牢の暗い壁を背後にしているのに、その姿はとても美しかった。それは、彼女の少し切なげな表情がそうさせていたのかもしれない。
ーーー
それから、アリアは特に罰もなく解放された。ブライアンの「本当に申し訳なかった、ぶってもいい」という謝罪の言葉に対して、遠慮なくブライアンの頬に平手打ちをお見舞いして、晴れ晴れとした顔で馬車に乗り込んだ。
「あんたなんか、一生、リリアナさんに愛されなければいいのよ」
という言葉を残して。
ブライアンはその言葉に、ドキリとしたように顔を強張らせ、アリアの乗る馬車が見えなくなるまで見送っていた。
「無事、解決できて良かったですね」
「リリアナ…これは契約違反になるよね?凄く身勝手だけど、僕はリリアナとは離婚したくないと思ってる。どうにか今回は見逃してほしい‼︎きっと今後はないように改めるから!」
「契約内容通り致しましょう」
リリアナはブライアンを見ずに告げる。
ブライアンは絶望する。ダメか…と肩を落とす。そんなブライアンに、いたずらっ子のような顔してリリアナは言う。
「契約通り、関係を清算して今後に活かしていきましょうか」
離婚なんて、そんな文字どこにも書いてないですよ、とリリアナはブライアンへ言い、邸宅へ足を向ける。
ブライアンはしばらく状況を飲み込むために立ち尽くしていたが、リリアナを追って邸宅は戻る。その足取りはとても軽かった。
ーーー
それから、ブライアンはこれまでの怠惰な状況を取り戻すかのように執務室へ篭り仕事をした。その様子は、リリアナの愛情を得ようと必死であり、それを使用人一同は暖かい目で見守る。
執事のトリスは、前伯爵の思いを知ってるからか、机にかじりつくブライアンを見て、そっと目頭を拭い、ウィリアムは「やっとですか…」と肩をすくめたのをリリアナは見逃さなかった。
何はともあれ、リリアナは以前と変わらない穏やかな日常を送っている。ただ、ブライアンがほとんど家にいるため一緒に過ごす時間が増えた。
「リリアナ寒くない?」「お腹空いてない?」「今日はピクニックでもしようか?」などと少々鬱陶しかったが、それ以外は平穏だった。
そんなある夜のこと、ブライアンは凄く緊張した面持ちでベットの上で正座をしリリアナに一枚の紙切れを手渡した。
リリアナはこてりと頭を傾けながら紙を受け取る。
「ちゃんと検査をしてきた。何も異常なしだよ…これで…これで問題ないかな?」
その様子は、試験の合格の是非を待っている子供のようにそわそわしていた。
リリアナはひどく驚いていた。すっかり自分の発言を忘れていたのである。そういえば、初夜の時に検査のことを言ったが、本当に実行するとは思ってなかったからだ。だいたい、貴族のプライドある男性が、男の勲章でもある部位を曝け出して、性病の検査を受けるなどなかなかできないと思っていた。リリアナはひどい発言をしてしまったなと後悔しながらブライアンと向き合う。
「あの時は、ひどい発言をしてしまいごめんなさい。今思うとちょっと、やりすぎだったわ」
「いや、跡継ぎを作るためには子作りは貴族の義務だし、君の身体を守るためには必要なことだから気にしないで」
リリアナはブライアンを見つめる。パタリと女遊びがなくなったこの男は、それがなくなれば、紳士的でよく働き、嫁思いな誰もが羨むいい男である。そんなブライアンに対して、とくんと胸が温かくなるのを感じたリリアナは、その事実に目を逸らすかのように視線をはずす。
「跡継ぎは必要ですもの、ちゃんと義務は全うします」
再び視線をあげたリリアナの目に迷いはなかった。ブライアンはそれを確認すると、ゆっくりとリリアナをベッドへ押し倒す。地味だと思っていた豊かなブラウンの髪がシーツへ広がり、ふわりと花の香りがブライアンを刺激する。
「なるべく痛くないようにする。だから…」
「大丈夫です。そこまで弱くないですわ」
ふふっとリリアナが笑いブライアンの首に手を回す。自分で気づかなかったほど、リリアナはブライアンを受け入れていたのかと、そんな自分に驚く。
「嫌になったら言って」
そう呟き、ブライアンはリリアナの唇を塞ぐ。唇に神経が集中し、その熱が下半身にも伝わる。自分の童貞のような反応に呆れながらもブライアンは夢中でリリアナを抱いたのだった。
ーーー
あれから数ヶ月が経った。
今日もリリアナは朝の散歩をしている。もちろん、ブライアンも一緒である。
リリアナは昨晩見た夢について考えていた。
小さい頃からよく見る夢は、夢にしてはとても鮮明で実際に体験したのではないかと思うほどだった。
そこでのリリアナは1人の男性を愛し、子をもうけ幸せに過ごしていた。しかし、夫は不倫をし家を出た。自分1人で子を育てなければならずとても苦労した。あんなに愛し愛され結婚したはずなのに、その愛はとても脆く儚く、永遠の愛なんてないのだと絶望する。そんな中でも、成人した子供たちからの愛情を感じ、子供が結婚し孫が産まれ自分は老いていく中で、無我夢中で生きてきたが、夫からの愛がなくても家族から愛された良い人生だったと…そこで目が覚めるのだ。
そんなこともあり、リリアナはブライアンに恋愛の類いの物を求めなかったし、ブライアンの恋愛を許した。愛に絶対はないのだから、と。両親を見ていても、そう思うことはリリアナにとって自然なことであった。
しかし、昨晩はいつもの夢の続きがあって、そこにはブライアンが優しく「リリアナ」と呼びかけ抱きしめてくれる夢だった。いつもリリアナにするように、夢でもブライアンは優しく、そして愛されている、と感じたのであった。
リリアナはじーっとブライアンを見つめる。ブライアンはその視線に気付き、「どうした?」とリリアナの頬に触れる。
その体温が心地よくて、リリアナは目をつむる。
「いえ、ただ…幸せだなと。あなたとここで過ごす日々がとても幸せだと、そう思っていただけです」
リリアナの言葉にブライアンは目を開き驚いたあと、くしゃっと泣きそうな顔で笑ったのだった。
この愛が永遠に続くなんて分からない。けれど、もう一度だけ、もう一度、今回の人生は、この幸せを信じてみてもいいのかもしれない。
たとえ、あなたの愛が終わったとしても、私が愛していけばいいのだから。
完。
貴族の政略結婚って想像できない…結婚後に少しずつその家族での愛の形を作るのも素敵だなと思い書きました。浮気不倫は褒められたものではないですし誠実であるのが1番です。ただ、政略結婚やパートナーとの関係性、状況によって許されるのではないかなと思い書きました…賛否両論だと思います。
目を通して頂き、ありがとうございました。