罰ゲームで「みんな、愛している」と叫ぶことになったのだが幼馴染に見られていた。
「みんなー、愛してる!!!」
放課後、僕は学校の屋上から下校する生徒に向かって大声で叫んだ。皆からの視線が一斉に突き刺さってとても恥ずかしい気分になる。勿論こんなこと僕の意思でやっているわけではない。いわゆる罰ゲームというやつで、やらされていると言った方がいいだろう。
大きな声を出して息が切れたので大きく吸った。さて罰ゲームは済ました。さっさと帰ろう。地面に置いていた鞄を拾い上げ屋上の扉を開らくと大きな声で
「あんた、バカなの!?」
と耳を貫いた。
「びっくりさせるなよ。いきなりデカい声で叫ばないでくれ」
「どうしてあんたに言われなきゃならないのよ。さっきあんなに叫んでいたのに」
彼女は僕の幼馴染。昔から一緒で、それなりに仲がいいはずだ。
「それで何か用があるのか?」
「あんたが大声であ、愛してるなんて叫んでいたからびっくりしてきたのよ」
「それ、お前に何の関係があるんだ?」
「それは大声で『愛してる』なんて言われたら誰だってびっくりするでしょ。それに恥ずかしいし」
何か勘違いをされている気がする。
「違ったら申し訳ないがまさか自分が『愛してる』って言われたと思っているのか?」
「え? ち、違うの?」
「あーなるほど理解した。お前の名前、美奈だもんな。"みんな"と聞き間違えても無理はない」
「もしかして、あたしめっちゃ恥ずかしい勘違いした?」
「まあ"みんな"だから一応美奈も含まれるから大丈夫じゃね?」
「はぁ? みんなじゃなくてあたしだけを愛してよ。あ……口が滑った、ちょっとにニヤニヤしながらこっちを見ないでー!」
ただ可愛いの一言に尽きるのだった。