火炎妖精とかいう物騒なヤツ
「火、火ーー! 熱いから消して、消して! 出でよ水!」
しかし何も起こらなかった。
「何でだー! 出でよえーと、砂だ、砂!」
ぼそっと砂まみれになるシロン。
しゅっと灯っていた炎は消える。
「べふっ。べふっ。ぺっぺっ。ちょっとぉ! 何で砂なんてかけるの? 信じらんな
い!」
「まーた真っ暗になったニャ。見えないニャー」
「もっかいつけるね」
「おいちょっと待て! ワンハンド! はぁ……これでいいぞ」
「シュボッ」
奇妙なランタンはひび割れていて、このせいで熱かったようだ。
灯った明かりを見てみると……中にはちっこい虫のようなやつがいやがります。
いいえ、こいつは虫ではありません! 羽の生えたちんちくりんがいました!
「これ、何ニャ?」
「さぁ……」
「食べられるニャ?」
「さぁ……」
「食べれるわけないでしょ!? あんたたち何考えてるわけ? 助けてくれたのは嬉しい
けどここはどこなのー! 家に帰たーい!」
「コゲクロさん。クロマさん。どう思います?」
「俺たち明るいの嫌いだからそいつ嫌いだ」
「ああ。嫌いだ。どっかやってくれ」
「ひっどーい! こんな可愛い火炎妖精をその辺に捨てていこうなんて。酷すぎるわ!」
「妖精? 妖精って羽の生えた変な……あー。これか」
「ニャー。迷子の妖精ニャ?」
「ひっどーーい! あんたたちなんてこうしてくれるわ! シュボッ」
小さな火の粉を割れた隙間から出して振りかけてくるちんちくりん。
熱い! 本当に熱いです! 止めてください!
「わ、悪かったって。今それどころじゃないんだった。俺たち明かりが無いと良く見えな
いから、協力してくれ」
「フン。随分と虫のいい話ね。私は虫じゃないけど。でもいいわ。助けてくれたし少し位
なら協力してあげてもいいんだけど……うーん。どうしようかなー」
「んじゃ、置いて帰るニャ」
「そうだな置いて帰ろう。ここなら誰も拾ってくれないし」
「ちょっと待って! わかった、協力する、協力するから置いて行かないでーあー嫌ー」
チャチャより騒がしい気がするが、置いていくのは流石に可哀そうなので連れていくこ
とにする。
クロマさんとコゲクロさんは不服そう。でも仕方ない!
コゲクロさんとクロマさんには奴らと意識を失った方々を連れて来てもらいつつ来た道
を引き返していきます。
チンチクリンの炎でときおり見え隠れするクロネ族が怖い……こんなにいたんだ。
「……それで、お前の名前は?」
「私ホノミィっていうの」
「ちんちくりんだな。覚えたぞ」
「全然違うじゃない! 何で名前聞いたのよ!?」
「シロンだから仕方無いニャ」
「あんたたちって一体何? 何でホワイトウルフと猫が喋ってるわけ?」
「ふっふっふ。俺たちはな」
「ニャガッハッハッハ。ニャトルたちはな」
『魔王だ』
「えーーーーーー!? ままま、魔王!? 嘘? 嘘よね?」
「嘘だ」
「嘘だニャ」
「……」
「今俺たちもちょっと信じたぞ」
「ごめんなさいコゲクロさんもうしません!」
「よし……そろそろ着くぞお前ら。襲って来た四人も引きずってきたけどこいつらどうす
んだ?」
ちんちくりんの明かりで見てみると、全部で八人にもなります。
うち四人は縛っておいて、攫われてきたか連れて来たかわからない人たちは
ちょっと調べてみる必要があります。
まずは頼りになるサルサさんに確認してもらわないといけません。
クロマさんの宿まで戻ると……そこには何と! ご主人たちがいるではありませんか!
「あれ!? ご主人ニャ。何処ほっつき歩いてたニャ?」
「それが、シロネ族の方にこっちじゃって言われてきたの。心配したよぉ、シロンちゃん!
ニャトルちゃん!」
「もしかしてもう解決してしまったのかい?」
「いや、これが犯人かどうかまだわからないんですよ、ヨナさん」
「ふーん……おじい様、どう思います?」
「その子たちは精神支配の首輪をつけられているようだね。どれも貴族のようだが……」
「お貴族様?」
「ううむ。これは少々厄介な事件かもしれん。シロネ族側の方も調べてみる必要がありそ
うじゃな」
思ったより大事のようです。
ちんちくりんをからかっている場合じゃ無くなったぞ!
ひとまずこの男の取り調べは任せるとして、助け出した人を見ると……確かに変な首輪
がはめられています。
これを着けるとおかしくなっちゃうのかな。
おや……「まずい。全員目を覚ました。少し下がっていなさい」
「ちょっとぉ。あちしのこと無視しないでよね!」
「ちんちくりんを構っている暇は無いのです。ところでお前、炎を出せるようだな」
「えっへん。当然じゃなーい。シュボッ」
「炎を纏う! ふっふっふ。これを見るがいい」
「な、何それ……変な犬……」
「失礼だぞ、お前!」
「ちんちくりん何て呼ぶあなたが失礼じゃなーい!」
事件の結末は、どうなる、どうなる? どうなるー!?




