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番外編 ウルフィちゃんのクリスマスコスチュームプレゼント

 ランタッターランタッターランタッター、タター。

 今日も尻尾を振り振り。

 お部屋でゴロゴロする俺、シロンです。


 というのもですね。俺が死んでから随分と経ちました。

 今頃元の世界ではクリスマスだなぁと考えていたんです。

 シロの事を思い出すととても悲しい気持ちになりますけど、俺はシロと

クリスマスを楽しんでいました。

 シロにクリスマス帽子をかぶせ、二人で音楽を聴きながらのんびり

ぼーっとする最高のひと時です。


「それがさー。聞いてくださいよサルサさん」

「嫌な予感がするからやめておくわ」

「何ですかシロンさん。私に話してくださいよぉ」

「地雷フィーさんに聞かせると爆発しそうなので……」

「そんなことありませんよぉ!」


 クローネの町の宿の夜。退屈だった俺は、どうにかクリスマスムードに

できないかあれこれ考えていたんです。

 そして――アレを呼び出す事を考え付いたわけです。ウヒョー! 


「じゃあ仕方ない。地雷フィーさんにはこいつを着てもらおう! 

出でよ、サンタコスチューム!」

「えっ? 何か出すの? 売れるもの?」

「あれ、サルサさんも着ちゃいますか? それなら……出でよサンタコス

別バージョン! ……あ、魔珠使い切ったもう無理あとよろしく」

「ヘンテコなものを二つ出した? ……何コレ」

「サンタコス……です……吸血! 地雷フィーさんから体力を吸い取れ」

「ひぃー!? ちょっと何するんですかシロンさん!」


 地雷フィーさんから少々吸い取らせてもらって回復した俺。

 これでサンタコスの説明ができます! 


「コホン。これはサンタクロースという、伝統的な衣装です。

これを着ると……何と! 煙突から家に侵入しても不審者にならない! 

知らない子供に何か無理やり渡しても罪にならないんです! 不思議!」

「はぁ……ついに頭がおかしくなったのね」

「煙突からでも勝手に侵入したら犯罪じゃないの」

「大丈夫です! サンタからのクリスマスプレゼントだよー! っていって

ゴミを渡せばオールオッケー!」

「そもそも何でわざわざ着替えて知らない子供にごみを渡すの?」

「本来はその子供が欲しがるプレゼントを用意するんですよ? そうすると

子供は夢を叶えられた! って喜ぶんです」

「誰かに叶えてもらうんじゃなくて自分で叶えなさいよ!」

「うぐっ……サルサさんに夢を破壊された……」

「でもこの服、ちょっと可愛いかもですぅ。着て見てもいいですかぁ?」

「私は嫌よ。そんな真っ赤な服。絶対着ないわ!」

「もううるさいニャ……ニャトルがせっかくふかふか毛布であったかく寝て

ゴロニャーガガ……」


 寝息を立てながら変な寝言を言ってるダメネコを放っておいて。

 フフフ、サルサさんをその気にさせるなんてちょろいんだぜ! 


「あれぇ。サルサさんて、案外小心者なんですね。新しい服にトライ

してみるのが怖いんですか?」

「別に怖くないわよ! たかが服一着くらいどうってことないわ」


 すると、早速着替えた地雷フィーさんがサンタコスにチェンジです。

 おお、これは可愛いじゃないですかヤダー。


 ……大人しくさえしてくれていればね。


「ふ、ふーん。まぁ少しくらいなら私も試しに着てみてもいいけど……

あっち向いてなさいよね」

「別に見てもなぁ……俺はただの犬……ぎゃふん」


 枕をぼふりと投げられました。

 案外照れ屋なサルサさん! 


 ささっと着替えたサルサさんのサンタコス……実は普通のサンタコス

ではない! 

 シロをイメージしたもふもふつきサンタコスなのです! 


「おお、いいですね! 似合ってますよサルサさん」

「ふーん。結構暖かいじゃない。気に入ったわ。もらっておくわね」

「あれ? あげるなんて一言も……」

「この恰好ならこの黒い町の中でも目立つかもですよぉ。お手柄じゃない

ですかシロンさん!」

「ぐぬぬ……こんなはずでは。俺はクリスマスムードを楽しもうとしてた

だけなのにっ!」



 目論見と違う結果になり、シロンは渋々と眠りにつくのでした。

 


 またね! 

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