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簡単な魔付与方法!?

「いいかね。まず今回君の鎖帷子に付与するのは実に単純な魔術だ。

君の残り一回しか使えない魔導書をこの液体に浸してごらんなさい」

「こうかしら? 別に魔導書をくれてもよかったのに」

「ほっほっほ。こちらの生徒用教材を使うわけにはいかんのでね。

これにはコボルトの魔術が付与されているね。次にそちらのウルフィさんの鎖帷子を浸してください」

「既に脱いであります。これだけでいいんですか? 一回分のコボルトが使える鎖帷子に?」

「いいや。これだけではまだ未完成。何も起こらない。おほん……えーえー、こりゃこりゃ……」


 何だろう。あの咳払いは呪文なのか? それともただの咳払いなのか!? 

 前ぶりのもったいつけが酷い。


「古に沸く魔の力よ。万物ありて素に溶ける汝の力を分け、そのものの力となれ。 

シンセシス!」

「おおおー!? なんか光ってます!」

「あれ? 先生。この魔導書使い終わってますよ」

「あら?」

「へ?」


 ボーンという音とともに出来上がったのは、見るも無残な鎖帷子だったものでした。

 おいどういうことだい!? 魔導書は確かに一回残ってたはずですよ? 


「そういえば……あんたが寝てるとき、試しに使ったかも。あははは……」

「失敗したじゃと!? そんなまさか……わしがこの程度の事で失敗!? ありえんことじゃ! 

ええい生徒諸君! 自習じゃ! わしはこれより偉大なる鎖帷子二号を作成する!」

『えー』


 どう考えてもサルサさんのせいです。

 先生が気に病むのは申し訳ないのでお断りしておこう。


「あのー。おかまいな……」

「本当? さすが先生! 名誉教授だわ! 凄いわね、シロン! ね?」


 あ……責任を押し付けられないように上手く取り繕うつもりです。流石サルサさん。がめつい! 


「うむうむ……失敗は成功の魔術。取り急ぎ注文をし、いい感じの鎖帷子を、お帰りまでに届けよう。

シロン君だったかな。君宛に受付の者に渡しておくよ」

「ありがとうございます。それでは我々は違う教室に……」


 気まずさもあってそそくさと部屋をでました。

 これというのもサルサさんのせいです! しかし新品でいい感じの鎖帷子になるなら……儲けものと

しておきましょう。


「ふー。危機一髪だったわ」

「黒ひげですか!? もう……ちゃんと覚えていてくださいよ……」

「結局チャチャは何もできあなかったちゃ……」

「それで、次はどうすんの?」

「そろそろご主人のとこに行かないと。ご主人ってちっとも召喚者らしくないですから

ちゃんと見て学んでるんでしょうか?」


 ぴゅーと冷たい風が一瞬よぎる。

 おっと、これは失言だったようです。


「そもそもあんたとニャトルが召喚獣として変なのよねえ」

「ニャトルは面白半分でサルサさんが呼ばせたんじゃなかったんでしたっけ……」

「そ、そうだったかしら。まぁいいわ。行ってみましょ。ほら、早く!」

「鎖帷子が無くなってちょっと寒いんですよ。そんなに急がせないでください……」


 一度製作エリアを出て召喚術エリアへと向かう俺たち。

 そこはとても分かり易い建物でした。何せ入り口に俺の銅像があります! 

 ……違いました。これはホワイトウルフィです。

 確かによく似てます。でも俺の方が可愛いけどね! 


「それでね……私の召喚獣、とっても可愛いくて面白いのよ」

「ふーん……本当かな。喋るウルフなんて聞いた事ないけど」


 おや? ご主人がナンパされてます。

 これは飼い召喚獣としては見過ごせません。

 とりあえず吠えておきます! 


「おい! 俺のご主人に一体何の用だ!? 変な事したらただじゃ済まないぜ!」

「おや?」

「あーーーー! シロンちゃんの方から来てくれた! これが私のシロンちゃんよ。可愛いでしょ? 

シロンちゃん。この子はさっき知り合ったお友達だから、吠えちゃだめよ?」

「でもご主人に悪い虫がついたら、お母さんになんと言えばいいか……」

「え?」

「あんた、よく見なさいよ。ベリーショートだけど、この子、女の子よ。

失礼ね」

「あははは。よく間違われるけどね……それにしても本当に喋るんだね。

驚いたよ。疑って悪かったね」


 なんと!? どこからどうみても男性に見えました。まな板に見えますし。

 ズボンとシャツでお目目がキリッとしたナイスガイに見えます。

 宝塚ですか? ここは。

 謎の女性と対話するご主人。

 うーん……召喚術教室よりこの方のお話の方が気になりそうです。


「続くよ!」

「いっつも短いちゃ」

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