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学業の理想郷ここにあり!

 鍛冶製作場所に来た俺たち。

 初級ということもあって、どんな事をしているのか気になったんですけど、大方の

予想はついていました。


 目の前には溶鉱炉。グツグツと煮えたぎるそこからは金属が型に流れ込み、とても暑そうです。

 というか暑い! この部屋何度あるの!? 


「おや、見学かい? うちに見学にくるたぁ嬉しいねえ。

俺はボムってんだ。よろしくな」

「な、なんか爆発しそうな名前ね」

「ん? はっはっは。別に爆発したりしねえよ。ちょうど今生徒にブロンズ製の

インゴットの作り方を教えてるところよ」

「ほうほう、精錬ですな」

「おお? なんだこの犬は。喋るのか!?」

「もうその流れはいいですから。不純物はどうやって取り除いているんですか?」

「お、おう。それはだな……スライムを使うんだよ」

「へ? スライム?」

「おう、これだ。アシッドスライムって言ってな。こいつらの酸性液で不純物を溶かすって寸法よ。

比較的銅ってのは処理しやすい金属の部類だが、表面に酸化物が形成されやすい。

これを行えば再利用もしやすい実にいい金属ってわけだ」

「何か聞いた事があるような」

「あんた、何でそんな事知ってるの? ここ来るの初めてよね? 私、全然わからない

んだけど」

「そっちのちっこくて細い姉ちゃんは鍛冶に興味があんのかい?」

「ちっこくて細い姉ちゃん……」

「サルサさんは付き人です。でも魔術が使えるんですよ! 火も出せます」

「ほう。魔術師は基本的に魔術講座以外興味を示さねえが、あんたは違うんだな。

関心関心。よし、コボト。いっちょ土産を作ってやんな」

「いいんですか親方。後で怒られません?」

「バカ野郎! 作らなきゃ俺が今怒る」

「ひえー。わかりましたよぉ。それじゃ銅の首飾りを作ります。見ててくださいね」


 生徒さんの一人、コボトさんというのか。

 親方って呼ばせてるんですね。確かに親方という響きが良く似合う。

 精錬されたと思われる銅のインゴットを熱して切り取り、形を変えて叩いて

伸ばしていく。この辺りは魔法の概念がない。

 いや……よく見ると使用されている道具が普通じゃなかった。

 前世であのように金属を切ったり出来るものは見た事が無かった。

 これは……興味がありますね。


「ここはまだ初級だから本来はインゴット製作や簡易的な金属加工までだ。

細工は彫金へ持っていくし大がかりな武器製作なんかは中級以上じゃないと開始させてねえ。

だが武器作成なんかはあまり深く見学はさせられねえからな。

入り口で説明聞くだけじゃつまらんだろう。そっちの犬とは面白い話が

出来そうだ。もし入校するなら俺が一から鍛冶を教えてやってもいいぜ」

「おお! それは楽しみです。最高のクラフターに俺はなる!」

「いや、あんたが武器を作っても、誰が使うのよ……」

「う……か、カエサルさんがきっと! ……そういえばボムさん。

ここにチャ言葉の変なやつ着ませんでした?」

「ん? ああ、来たような気がするな。中級に向かったんじゃないか?」

「ありがとうございます。後ほど行ってみましょうサルサさん!」

「チャチャの事が気になるのね。そうね、ついでだし拾っていきましょうか」

「ふいー。親方、こんな感じですか?」

「どれ、ちっと犬に当ててみろ」

「はい。温度は覚ましてあるから。ブロンズチョーカーだよ」

「おお。ぴったりです。そして重いです……」

「そりゃそうだよ。ただの銅のチョーカーだから。ここに彫金で刻印して

色々な効果を付与したり、素材の重量を軽くしてもらうために付与が必要なんでしょ?」


 なんですと? 学校一つでそんなに無数の役割が。

 これはなんて楽しそうな連帯感ある学校なんでしょう。

 前世の学校とは大違いです! 

 学校はこうあるべきだ! 

 生徒と教員と学校がおりなすハーモニィ……学業の理想郷です! 

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