錬金術に使える道具を異界召喚する!
結局サルサさんの面倒そうな説明により、珍種ということで
解決されました。
しかしこの設定では毎回説明が必要。
ちゃんとギルドで公表されてればこんなことにはならないんですけどねぇ。
シロンのことはさておき、いよいよ錬金術の見学を本格的にします。
皆さん先生の指導を受けながら、慎重に作業をしています。
しかしロケット花火を見た生徒さんの一人と先生の一人が、サルサさん
と一緒に熱心にそれを見ています。
「これは凄い。こんな小規模で分散しない爆薬は初めて見た。
どれほどの技術を手に入れればこんなものが作れるのか……もっと参考になる
ものはないのか?」
「うーん。魔珠が直ぐなくなっちゃうので大きいのは出せません。
小さいのなら……出でよ、線香花火!」
ぽとりと再び花火が落ちる。これこそ最大の切なさをギフトする究極の花火だ!
飛びつくように先生に拾われ、じっくりと見始めた。
「ふむ。これには火薬は使われていないようにみえるが……いや、待て。
本当に極々少数の火薬が使われている。はっ! すまない、気づいたら
勝手に分解してしまった! 弁償させてくれ」
先生は拾った線香花火を勝手に分解していた。これぞ研究者! といった
感じでしょうか。物珍しいものへの関心が強すぎます。
「いえ、別……」
「ええ。そうね。それ一つでレギオン金貨一枚よ」
「なんと、たったのレギオン金貨一枚でいいのか! ではこちらにある五本全て買い取ろう」
「え、ええ。ありがとう。シロン、預かっておくわね」
「それじゃサルサさん。そのお金は上げるので大学の案内はしっかり頼みますよ」
「いいの? やったわ! さすがシロン、太っ腹ね」
たまたま出した線香花火がレギオン金貨五枚とは……棚から牡丹餅過ぎて
自分には使えません。しかもロケット花火も買い取ってくれるそうな。
こちらは一本レギオン金貨二枚。三本お買い上げで合計金貨六枚。
これはシロン用にとっておいてくれるそうです。
「もし……こちらの大学へ興味があるなら紹介状を書く。
ぜひとも錬金術の教室に来て欲しい。こちらでは岩石などから取れるものの
加工をして、薬品を作ったりしている。中級、上級になると加工が難しいものへ
代わり、それらの素材を製作の教育へ買い取ってもらい、また研究用の鉱石などを
購入しているのだ。君たちのような物珍しい素材を提供してくれる人たちなら
大歓迎だ。待っているよ」
そう告げると先生と生徒は再び花火の研究を開始し始めた。
この教室に欲しい情報はなかったけど、いいお金稼ぎになってしまいました。
話からすると、求めている情報は初級から上級にも無さそう。
製作の方に回ってみないとですね。
「やったわねシロン。あんたの能力、お金になるじゃない」
「こういう使い方はちょっと。お金はまじめに働いて稼ぎましょう!」
「まぁあんたの能力悪用されたら危ないもんね。王国にばれたら
捕らえられてこき使われそうだし……あまり能力がばれるのはよくないか。
それじゃ錬金術はいいとして、次は何処へ行きたいの?」
「そうですね。製作へ先に行きましょう。案外俺のワンハンドなら製作もできるかもしれません」
お金を払ったので俺の行きたい場所から回れそうです。やったね!
「懐温まってよかったわぁ」
「でもサルサさんてお金いっぱい持ってそうですね……」