宝キノコ箱!?
「これで依頼分は足りるのかなぁ? あれ……何このきのこ? 箱?」
「それは宝キノコ箱のろー。珍しいのろー」
「宝キノコ箱っていったいなんですか?」
「なんやおまえ知らんのかいな。それは珍しいお宝が入っとるっちゅーキノコや。幸運やったな姉ちゃん。
わいに感謝してもええんやで?」
「なんでゴラァがついてきてるんだ? 親父のと戻ったんじゃないのか?」
「わいはお前らについていくことにしたんや。冒険や冒険! 負けたら仲間になる。
こんなん鉄板やろ?」
「だが断る!」
「なんやて! こんな見目麗しゅうキノコ、仲間にせなもったないで?」
「間に合ってます。うち、パーティー一杯なんすよ」
ここはきっぱり断る! めちゃくちゃやかましい関西弁キノコとか誰得需要なんだ。
少なくともファンはつかない。却下だ。却下。
地雷フィーさんくらいの見た目ならともかく……あれはあれで凄く困りますけど!
「……あかん、わいはもうついていくと決めたんや。一歩も引かへんで!」
「ではお先に!」
「ちょ、待てやゴラァー!」
「なんかしがみつかれたのろー」
「わいとこいつは一心同体や。もう離れる事はないで!」
結局しがみついてくるゴラァンタ。
ご主人と地雷フィーさんは宝キノコ箱を抱え、俺とニャトルはずりずりと町へ戻るのだった。
プチッ
【シャキーン】
【シャキーン】
「あれ? 何か踏みつけたニャ?」
「あー! お前、また卑怯なレベルアップを!」
特に何もしていないニャトルは、レアモンを踏みつぶし、二レベル上がった……。
解せぬ!
――――――――ショートの町まで戻った一行――――――――
「ふぅ。疲れたよーご主人。抱っこしてーー」
「うふふ。いいわよシロンちゃん。それにしても今回は頑張ったね! 恰好いい技覚えたじゃない!」
「ふっふっふ。ラスボスは三回変化してからが勝負ですからね。しかし俺の変身はまだまだ数え
きれないほどあるに違いないです!」
「よくわかってるニャ。その通りニャ。シロンの革新進化は進化神様すらよくわからないほど変化するニャ」
「今のところ進化技の方は把握できたけど、俺の召喚術の方がいまいちなんだよね! どうしたら
呼び出せるものがわかるのかな」
「ゆっくり覚えていこ! さぁまずはギルドに報告だよー!」
「この宝キノコ箱はどうするんですか?」
「部屋に戻って開けてみるのろー。一緒に行くのろー」
「じゃあ私はギルドに報告してくるね。地雷フィーちゃんは部屋に戻ってて! 分配するから!
行くよ、シロンちゃん、ニャトルちゃん!」
「私、結局地雷フィーで定着しちゃってるよー……ガーン」
「覚えやすくていいニャ! ラフィーなんてめんどくさくて覚えられないニャ!」
「いい名前のろー。名前つけて欲しいのろー」
「いやいやヴィーヴィルさんはどう考えても名前はのろーでしょ」
「わかったのろー」
「いいんだ……それで」
宝キノコ箱を地雷フィーさんとのろーに任せて、俺たちはギルドへと向かう。
ご主人は何もしてないので超元気だ。
まぁ俺もあんまり行動していない。しいていうならキノコの胞子まみれになったので体を洗いたいよー。
「はい、これ依頼のキノコです!」
「こんなに沢山ですか!? はぁ……こりゃ鑑定するのが大変ですね。ここに名前を……明日また
いらしてください。それまでに計算しますので」
「はーい! また明日だって。今日は何食べようか? やっぱりキノコ?」
『キノコは結構!』
毒々しいキノコを散々食べてしまったので、しばらくキノコは見たくない……。
ご主人に念を押してから宿に戻ると……おお、我が勇者カエサルがいました!
「お帰りなさいサ。いいもの手に入れたみたいサ?」
「そうらしいです。宝キノコ箱ってちょっと噛みそうな名前のやつです」
「何が入ってるかさっさと開けるニャ。どうせガラクタニャ」
「結構珍しい箱なんですよ! わくわくしますねぇ」
「よーし、俺が開ける役目だったな。あれ? ゴラァンタは?」
「さぁ。あそこで腕組んでますけど」
「スピーゴラァ……スピーゴラァ」
「愉快な寝息を立ててるな……ほっといて……と。いくぞ! オープンザトレジャー!」