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カエサルでいいぜ!

 やつの投げ放ったヒゲは、ざくっと俺の前足に突き刺さった。

 なんでこんなに硬いヒゲなんだ! 


「いてぇ! こいつめ、やりやがった。こりゃピンチだ……」

「ニャガーーッハッハ。このまま串刺しにしてやるニャガ!」


 ニャガラスが俺めがけて次の猫ヒゲを投げ放つ。万事休す。

 俺の命もここまでか。短い一生でした。パン食べたかったよー-。


 そう思った時だった。

 ジャキンという音とともにニャガラスが投げたヒゲが切り落とされる。

 た、助かった……一体だれが? サルサさんの術か何か? 


 辺りを見回すと……そう、緑色のやつがいた。

 そしてそいつは足をぴょんぴょこさせている。

 いや、ピョンピョン飛び跳ねている。


「いたたっ、何でこんなところにマキビシサ! 刺さったサ、刺さったサ!」

「えーっと……あなたが助けてくれたんですか!? それは俺が放ったマキビシですすみません!」

「ニャガ!? 新手ニャガ? このニャガラス様に名を名乗れ!」

「カエルでいいサ」

「そのセリフは問題があるので僕が名付けます! 彼はカエサル! そう、カエルのカエサルです!」

「カエサルでいいサ」

「すんなり改名したニャガ!? 一体何ニャガ?」

「いやいや、それは俺のセリフだよ! ニャガラスもカエサルもどっから沸いたんだ!?」

「ニャガ? お前知らないニャガ? 魔族がダンジョンを構築すると誰でも入れるニャガ」

「知らないよ! なんだそのヘンテコなの。それじゃあえて創造しにいかなくてもいいじゃないか」

「何言ってるニャガ。最初に入る奴が有利に決まってるニャガ。それに出入口はランダムニャガ」

「たまたま立ち寄ったが襲われていた故助けたサ。大丈夫サ? 子犬サ」

「俺はシロンです! あいつが急に襲ってきたんです。助かりました」

「おいニャガラスといったサ。このカエサルとやり合おうっていうならタダじゃおかないサ」

「ふ、ふん! 多少剣を使えるくらいで調子にのるニャガ! いくニャガ! 猫ハリテ!」


 ニャガラスが前足を相撲のハリテのように突き出しながら突進してくる。こいつは……。


「あのー」

「ふはははくらうニャガ! ……いたたたたた! 思いっきり踏んずけたニャガ!? 

なかなかやるニャガ」

「こいつ、もうマキビシの事忘れてやがる! 猫は恩義を十秒で忘れるというが……

恩義じゃなくても十秒で忘れてる」

「俺が手を下すまでもないサ。だが……カエサル斬り!」

「ニャガーーーーーー!」

「おいたがすぎるサ。ニャガラス」


 ドシーーーンとでかい音を立てて倒れるニャガラス。だが飛び跳ねて反対側にドシーンと倒れる。

 顔面にマキビシが突き刺さったようだ。


 斬ったんじゃなくて峰うちだ! 思ったよりマキビシもきいたようで失神している。

【シャキーン】

【シャキーン】


 お、レベルもあがったぞ! やったね! カエサルもレベルがあがったようだ。


「改めてよろしくサ。俺はカエサル。見ての通りカエル族サ」

「こちらこそ、危ないところをありがとう! 俺はハンディウルフィのシロンです。種族はウルフィです!」

「ウルフィ? 聞いたことがないサ。しかしお前さん、一人でなぜこんなところにいるのサ?」

「落とし穴に落っこちてしまって。上に仲間がいるんだけど戻り方がわからないんです」

「そうか、それなら一緒に行くサ。ちゃんと仲間のところに連れてってやるサ」

「めっちゃいいカエル! 喋り方もうるさいニャトルと違っていいわぁ……改めてよろしく! 

シロンって気軽に呼んでください。そしてよかったらパーティーに入ってください! 

地雷を放出しますんで!」

「よくわからないサ。カエル族は嫌われてるサ。この見た目のせいでサ……」

「気にしません。むしろカエルは好きです。ぴょんなんちゃらみたいで」

「ぴょんなんちゃらというのがよくわからんサ。どう種族サ?」

「まぁそのようなもんでしょう。やつは服の中から出られないけど……」


 こうして俺はひとまず、カエルのカエサルと手を組み、ご主人たちと合流を目指すのであった。


 ご主人、なんで召喚解除して戻してくれないのー? 

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