ニャガラス様!
「うーい。やっと出番ニャガ。おいそこのちっこいの。まずは挨拶だニャガ」
「ニャガ?」
「おいおい、礼儀を知らん奴だニャガ。このニャガラス様の前にいるってことは挨拶が先だニャガ」
「ニャガ?」
「おまえ! バカにしてるニャガ? ただじゃおかんニャガ!」
「しゃべる巨大猫……こいつの方がニャトルより役に立ちそうな気がする……」
しかしでかい! 体長三メートルくらいあるふとっちょ猫だ。
だが屈したりはしないぞ! 今の俺には新しい技があるのだ!
「ふっふっふ。俺をただの可愛いウルフィだと思ったら大間違いだ。こう見えてもなんと!召喚術を
使う獣畜生なんですよ!」
「ニャガ? お前何言ってるニャガ? ホワイトウルフがそんな事できるわけないニャガ。
ニャガーッハッハッハ!」
「笑いたいなら笑うがいいさ! 俺の実力、見せてやりますよ! 猫は大きい音を嫌う! くらえ!
えーと……ちょっと待ってね」
「ニャガ」
「笛ロケットとマッチよ来い! ……ワンハンド! えーと片手だとやりづらいです。
もう少し待ってね」
「ニャガ!?」
なぜかラッキーな事に待ってくれてるアホ猫に向けて……落下してきた笛ロケットを地面に固定して
火をつけた。シュルシュルと導火線が燃える。
「くらえー! 必殺、笛ロケット!」
ぴゅー---と凄い音を立てて飛んでいく笛ロケット。
一瞬びくっとなるニャガラス。どうだ、恐れ入ったか!
そしてパァンとはじける音とともにニャガラスが飛び跳ねる。ふっふっふ、やったぜ。
「な、何ニャガ今のは。まさか状態異常のデバフニャガ?」
「いえ、音が出てびっくりする精神ダメージです」
「お前! やっぱりバカにしてるニャガ! 許さんニャガ!」
「大真面目ですよ! 魔珠が足りなくてあまり色々出来ないの! くらえ、燃斗!」
「何! 今度は火の玉を出したニャガ! 結構侮れないやつニャガ! だが、くらえ! 猫無双踊り、猫
踏ん張った!」
「無茶苦茶踏ん張ってる! 一体何をするつもりだ!?」
「シャーーーー!」
凄い勢いでこちらへ突撃してきた。巨体の割に速いぞ! 溜めてたからか? 隙だらけだったけど!
慌てて回避すると壁にビターーンとぶつかった。痛そう。
「お前! 何で避けるニャガ?」
「そりゃ避けるでしょ。当たったら吹き飛ばされるし」
「それでも武人ニャガ?」
「いえ、獣です!」
「こいつめ……次は外さないニャガ!」
「外してはいない。回避したんですよ!」
しかしあの巨体の攻撃。まともにくらったらただじゃすまないな。魔珠は後どれくらいだろう?
ご主人たちは大丈夫だろうか。俺は大丈夫じゃないよ! ぼすけて!
ゴロゴロと転がりながら突進してくるニャガラス。動きがどんどんよくなっている気がする。
こいつ、スロースターター……尻上がりタイプか!?
このままだといつかあの突進をくらってしまう……どうしよう……簡単に召喚できるものを
急いで考えよう……これ以上何度もは出せない。うーん、うーん。
「おいお前! やる気あるニャガ!? 少しは攻撃してこいニャガ! そして名を名乗れニャガ!」
「俺はシロン! 偉大なる超大魔導士の息子のおふくろさんのご近所の子供だ!」
「ニャガ!? こいつ、肩が気持ちニャガ!? 偉大なる超大魔導士の息子の
おふくろさんのご近所の子供……ただの子供ニャガ!?」
「チャンスだ! いでよ、まきびし!」
パラパラととげとげのあいつが周りに散らばる。よーしよーし。
「ふっふっふ。これで突進できまい。はぁ、魔珠がもう全然ないよー。体だるーい」
「お前、バカニャガ? それでどうやって戦うニャガ?」
「あれ、後ろにもあるよ? 俺どうやって逃げるの?」
「ニャガーッハッハ! この勝負もらったニャガ! 転がるだけが攻撃と思って油断したニャガ!
くらえ、猫ヒゲ危機一髪!」
なんとやつは、自分の猫ヒゲを引っこ抜いて、俺めがけて投げてきた!