地雷なラフィーさん
「おいばかやめろ。ウイリアム・テル序曲が流れ出した!」
「ニャニャーー! 牛、牛ニャー!」
「キャーーー! めちゃくちゃ興奮してるわ! なんで追いまわしてくるのよ私を!」
「サルサさんが赤い服を着てるからです!」
「なんでニャトルも追われるニャー!」
「お前がうまそうだからだ!」
どこからともなく現れた牛二頭は、ニャトルとサルサさんを追い回す。
俺とご主人とラフィーとハラペーニャはそれを傍観する。
「傍観してる場合か! 助けてよ!」
「って言われても、牛相手にどうしろと?」
「くらえ、猫だましにゃ!」
「モォーーーーー!」
「かえって興奮したニャ!? えーいこうなったら!」
牛に飛び乗るニャトル。こいつ、上に乗るのがうまい。さすがは猫……あれ?
……こっちに来るよ?
「さぁいけニャ! 今日からお前はギュトル! このニャトル様の操り牛ニャ!」
「モォーーーー!」
「ちょっ 二匹目なんて聞いてないわ! なんで私を追い回すのよ! この服、えいっ!」
上着をばさーっと脱いで俺へと放り投げるサルサさん。
あれ、何か嫌なカウントダウンが聞こえるきがするよ。
三
二
一
ちーん。
「うぉー-----! こっちきたー---! 服が外れないだと!?」
「モォーーーーー!」
「さぁいけニャ! やつを仕留めるニャ!」
「この音楽を誰か止めてくれー--!」
「あら、これは何かしら」
「ちょっとあんた! いい加減押すのはやめな……ああ、またおした!」
「うわわわわーーー! 壁から剣が! 剣が舞うように襲ってくるうーーーー! そして音楽が
剣の舞に変わったっ!」
迫り来る牛と剣。まさに闘牛気分を味わいながら追い回される俺。
なんでこんな目に! 運動会気分はどこいった!? あっという間にスペインコースだよ!
「ちょちょちょ、ちょっと待って! 猫っぽいダンジョンだから安心してたのに、罠っぽい
ダンジョンじゃないか!」
「知らんニャ。さて、安心して進むニャ」
「お前にこいつをくれてやる! くらえ、赤いペンキ!」
ぱしゃーっと赤いペンキがニャトルに降り注いだ。
「ニャ? 何ニャこれは? さてはシロンの能力ニャ! ……嫌な予感がするニャ。
とてつもなく嫌な予感がするニャ……」
三
二
一
チーン。
「いいぞ、いけー、牛ー! 奴を蹂躙してしまえー! フハハハハーー!」
「あんたらいつまで遊んでるのよ! 燃え盛る大気の熱よ。万物を焦がしその身を滅ぼせ!
フレイムアロー!」
「燃え盛る大気の風よ。万物を吹き飛ばしその身を切り刻め!
エアーカッター!」
「おお、ラフィーさんは風魔法が使えるんですね。かっこいい! 地雷だと思ってすみません!」
「え? 地雷?」
「モォーーー!」
風魔法と火魔法混合で牛を退治した! 俺がじゃないけど!
ハラペーニャは牛に近づいてじーっと見ている。
「おい、こいつはきっと食べられる。報酬としてもらっていいか?」
「え、ええ。一頭は私たちがもらいましょうか」
「あら、これは何かしら」
「ちょ、待てーーー! 押すなぁーーー!」
いうがおそし。とりあえず押してみるその行動。やっぱりj地雷でいいでしょうか?
「三分間クッキングがっ、これは……調理されるのは俺たちじゃないでしょうか」
「本当不思議なダンジョンね。けれどもう慣れたわ。どこからでもかかってきなさい!」
「いけぇー、サルサ! 頑張れー!」
「ご主人は一体何してるニャ……」
しかし今度現れたのは……テーブルと料理道具だった。一体どうなってるんだ、ここは!