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天国と地獄ですニャ

「あら、これは何かしら」


 ラフィーさんが何かを見つけたようで、しゃがみこんで不思議そうに見ている。


「何かのスイッチかしら。危なそうだから押すのは……」

「とりあえず押してみましょう! えいっ」

「はい?」

「ちょっとあんた! 先に安全確認を!」

「えっ こういうのはとりあえず押してみないとわからないでしょ?」


 奥からゴゴゴゴという音が聞こえてくる。ひじょー-に嫌な予感がします。

 そしてラフィーさんにもひじょー--に嫌な予感がします。


 あたりから突然音楽が流れだした。こ、これは! 天国と地獄! 


「な、なんにゃこの陽気な音楽……楽しくなってきたニャ!」

「これ、まずくない? 催眠効果ありの音楽か何か?」

「よーしやるぞー! 俺は今日こそ一等賞だ!」

「私もやるー! やるよー!」


 謎の高揚感に浸る俺たち一行。音とともにダンジョンの奥から来たのは……でかい玉! 


「おー-! やばい、やばいよー! 何かでかい玉がきます!」

「走れー--!」

「ニャニャ!? ニャ!」


 ニャトルがその玉の上に飛び乗った。あいつ、器用だな! 上でうまくバランスをとってる! 


「ニャーハハハ! 楽しくなってきたニャーー! それそれ走れニャー!」

「ちょ、おま! 止めろそれ!」

「走りだしたら止まらないニャー!」


 玉はぐるっと回り込み俺たちをダンジョンの奥へとおいやる。

 途中ニャガニャガいってたひょろっひょろの猫たちを弾き飛ばしていく。まるでボーリングだ! 



「うおーい! カステラ一番電話は二番てやってる場合じゃないよ! 今時二番にかけても

ブンメイドーには繋がらないからね!」

「何言ってるニャーー! ニャトル様は誰にも止められないニャー!」

「この音楽、どうにかして止めないと! ラフィー、妨害呪文使える?」

「つかえませーん! ごめんなさい私のせいなのにー!」

「いけー-! ニャトルちゃんー! いけー、私ー!」

「ご主人は一体何ってるんですかー! この音楽のせいでおかしくなってるのか!?」


 猛ダッシュしてニャトル玉に追われる俺たち。目の前にハラペーニャが見えてきた! 


「おう、お前ら。何してるんだ?」

「何かの罠にかかってます! 助けて!」

「ニャーッハッハッハ!」

「よっこい……しょっと!」

「ニャニャ! このニャトル玉を止めるとは、なかなかやるニャ!」

「た、助かった。あれ、でも音楽止まらないよ?」


 巨大な転がる玉が止まったと思ったら、今度は壁一面から赤と白の玉が飛び出す。

 ポコーンポコーンと打ち出される紅白の玉を全力で回避する。


「おい! 今度は玉入れ競争の玉が襲ってきたぞ! どこの運動会だよこれ!」

「何これ。面白ーい! 今度は避け続ければいいのね?」

「ご主人は素で楽しんでるだけだった! くそ、今時の運動会は競わないから自分との闘いで

確かにあってるけど! 競技しにきたんじゃないぞ!」

「何言ってるニャ! 痛いニャ! 当たると結構きくニャ!」

「あいたっ! ちょっと何なのよこれ! ハラペーニャ、あんた止めなさいよ!」

「いててっ 無茶言うな。突然出てきたぞ、この玉」

「ご、ごめんなさい! さっきまた壁にボタンがあって押しちゃったのー!」

『うぉい!』


 ラフィーさんも地雷でした。つまりもれなくサルサさん以外全員地雷! 

 このパーティ、解散することをお勧めします!


 さんざん玉になぶられ、ようやく玉が飛んでこなくなってから、俺とニャトルに音が鳴り響いた。

 玉避けでレベルがあがるんかーい! 


【シャキーン】

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