ハラペーニャー腹減ったニャー
小屋の中に入ると、想像通りぼろっちい家具と、布団が一枚がある位だった。
ダンジョンに行くのにこんな所にきて行けるのかなー?
中をよーくみると……黒い羽の生えたもろに魔族です! っていうおっかないお姉さん? がいた。
しかし痩せてるな。女魔族ってこう、色気ムンムンで男を魅了するイメージなんだけど。
勝手な俺のイメージだけどー!
「よく来たな人間共! あれ? 魔獣つきか?」
「邪魔するわ。早速だけど取引したいのよ」
「おう、いいぜ! だがちゃんと取引物は持ってきてるんだろうな!」
「ええ。ただ、初心者用ダンジョン希望だから、そんなにはお金、払えないわよ」
「おいおい、ここはハラペーニャ様の住処だぜ。お金なんて代物じゃ契約は出来ねーな」
「そんなはずないわよ。初心者ダンジョンの相場はレギオン銀貨一枚でしょ?」
「それは普通の魔族だ。ハラペーニャ様は直接食事と取引でないと受け付けないぜ」
「だってさ。ルビー、他あたりましょ」
「ちょ、ちょっと待て! 何か持ってるだろ? なぁ、決して損な取引じゃないはずだぜ!?」
「そう言われてもねぇ……魔族でお金以外の取引なんてしたことないし、危ないんじゃない?」
「じゃあ俺が取引しますよ! 今ならきっとパンを出せるに違いない! 出でよパン!」
しかし何も起こらなかった。なんでだー!
「おかしいな。魔珠が足りないのか? パン一つで? えーい、おにぎりならどうだ!
出でよおにぎり!」
しかし何も起こらなかった。なぜだー!
「おい何やってるんだこの犬っころは」
「この子、ちょっと面白い芸ができるのよ」
「へー、食い物出せたりとかか?」
「そうなの! シロンちゃんは凄いのよ!」
「ダメです。何か食べ物は出せないみたいで……しょぼーん」
「使えない奴ニャ。ほら、この魔族にはこの魚をやるニャ。同じニャがつく仲間のよしみニャ」
「おお! この猫喋るぞ。こいつを差し出してもらおうと思ってたが、お前いいやつだな!
そうだな、お前に魔術契約をしてやる」
魔族は魚を受け取ると、サラサラとニャトルの地面に何かを書きこみ、ブツブツ唱えた。
するとニャトルの足元が光り輝き、ニャトルは光に包まれた。
「ニャニャ、何ニャーーー! これは」
「よし、お前と契約してやった。この魚は頂くぞ。へへっ」
「いや、そうじゃないでしょ! 初心者ダンジョンはどうなったのよ!」
「ん? だからそいつの魔術で行けるようになったぞ。それからこのハラペーニャ様を
呼べるようにしてやった。ただし、呼んでもうまい食い物がないとすぐ帰るからな!」
「うまい食い物なんてそれこそニャトルが食べてしまうんじゃ……」
「お前もさっき何か食べ物出そうとしてたんだろ? もし出せたらお前とも契約してやるからな。
楽しみにしてるぜ」
そういうと、ハラペーニャはガツガツと魚を生のまま食べだした。
こんな魚持っていたニャトルもニャトルだが、そのまま生で食べるハラペーニャもどうなってるんだ。
確実にお腹を壊しそうだよ……。
「それでニャトル……初心者ダンジョンての、生成できそうなのか?」
「ニャトルにはわからないニャ。どうすればいいニャ?」
「おっとそうだった。いいか、ハラペーニャ様と同じ動きをして誘いマルマルダンジョンと唱えろ。
マルマルには目的のダンジョン名だぞ。いいな?」
両手を上げてクルクル三回周り、お手上げポーズから右首を傾げる姿勢を取った。
これ、やるの? 本当に?
「ニャ……こうニャ。えーっと誘いニャ初心者ダンジョンニャ!」
「ば……おい」
俺たちは光に包まれ全員その場からふっと消えた。