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ご主人に祝福されれば、それで十分! 

 バトルオリンピア。

 そんな戦場ともいえる大会で、俺は、俺は! 

 勝ちました! 相手は召喚獣で最強とうたわれたカインドとかいうい奴です。

 そう、俺は勝ったんです! ご主人はこれで晴れて最強の召喚士として名をはせることになる。

 そして俺も安心してパンを焼いて暮らせる。

 そんな日々が待っていると確信していました。


『まさかの番狂わせに会場から……みなさーん! ものを投げないで下さい!』

「金返せー! カインドー! いくら賭けてると思ってんだ!」

「はーあ。負けなしだったから応援してたのに。私ルビー様に乗り換えよっと」

「そもそもあんな大きな犬になれるの反則よねー」

『皆さん。魔法を飛ばさないで! ダメです! 落ち着いて!」


 会場は大混乱です。

 酷い言われようだわん。

 敗者だけでなく勝者にも罵倒を浴びせる始末です。

 番狂わせって怖い! 

 俺に賭けてたのなんて……「おーーっほっほっほ! ルビー様が負けるはずありませんわ! 我が商会、ボロ儲けですわ! さっすがルビー様! はぁん、しびれるぅー!」

「う?」

「まぁご主人は特に何もしてないわけですが……あの人、目がやばいなー」


 ご主人に敗れ去った初戦の相手、確か……そう! マード商会のマードラさん! ご主人に負けず劣らずの美少女登場です。

 ていうより張り付いて見てて怖かったです。

 ご主人に引っぱたかれたのが相当効いたのでしょうか。

 その横にもう一名います。

 第六天魔王です。

 そんな感じの物騒な名前ですが幼女です。

 そしてこの幼女。風神様のような姿の頭に一本角がある、狐目をした布衣娘を口寄せしたんです。

 そいつがなぜかマードラさんの背後で良う手をあごにつけて座り、じーっとこちらを見ています。

 

 俺、恨まれてるんですかね? 


『皆さん、お静かに! シロン選手とルビニーラ選手! 危ないので避難してください!』


 結局そのままリングをとぼとぼと降りて、俺はご主人の下へ向かいました。

 祝福されないむなしい勝利だぜ、くすん。


「シロンちゃん……」

「はう。目立ち過ぎました……勝ったのにすみませんご主人」

「何言ってるの、シロンちゃん? すっごーーーーく楽しかったよ! よく頑張ったね、私のシロンちゃんは世界一だよ!」

「ご主人……!」


 俺はご主人に祝われればそれで十分でした。

 観客の奴らには後ではなさけじいさんのくっそ怖い話版を製本して売りつけてやろうと思います。

 タイトルだけでもホラーです。

 おっと。もう一人……褒めて欲しい人がいました。


「シロン……よくやったわ! あんたならきっと勝つって信じていたわよ!」

「目がお金マークですよサルサさん。でも、あのままブルースが本気を出していたら、今のレベル一の俺じゃ勝てなかったかもです」

「そうかしらね。あんたの最後の技、あれすごいわよ。いいなぁ。私も進化してみたいな」

「人が進化したら何になるんでしょうね?」

「さぁね。でもある意味、召喚士って人が進化した形なのかもしれないわ。だって私には召喚契約出来ないもの。魔法が使えたり、特別なスキルが使えたりする人は沢山いるの。でもね、モンスターと契約し、使役して戦えるのは特別な一握りの召喚士だけ。黒百合様の下で試してみたけどやっぱり私にはダメだったわ……残念だけど」


 そういって食い殺すような目で見て来るサルサさん。

 そんなに睨まないで下さい。

 召喚なんて無くても恰好良い魔法があるじゃないですか。


「それでねー……賞金の話なんだけど」

「早速過ぎませんか!? まだ受け取ってもいないんですけど」


 とサルサさん、ご主人と話していると、背後から飛びつかれました。

 第六天魔王に。

 そしてその横にマードラさん。


「ルビー様ぁ。サインを……いえ、その前に賞金なんですが、マードラ商会にてお渡しします。出資者がうちのお母さまなんです。この大会」

「ええっ!? マードラ商会に招待ですって!? さぁ行きましょう!」

「あなたは誘ってないんですが……誰ですか?」

「そうなんだ。でも大会の表彰とかはいいの?」

「はい。少々険悪なムードで黒百合様が現在破壊活動をしようとしているので……」


 道理で会場の方が騒がしいと思いましたし、黒百合様もいないと思いました。

 怒りの鉄槌ですね分かります。

 まぁこの大会にはご主人の腕試しの意味で来たわけですから、黒百合様の目標は達成されてます。

 ……痛いので毛を引っ張らないで欲しいです、第六天魔王さん! 


「あのー、それでこの子は一体だれなんですか?」

「私の妹ですわ。偉大なるルビー様の召喚者様」

「妹? 妹がストーンさんていう方の助手を?」

「あれは私の従兄弟です。こちらはアイシャ。私のメイドですわ」


 お嬢様! メイドがいてお兄さんがいて可愛い幼女妹までいるなんて。

 

「ねえシロンちゃん。何か欲しいものある?」

「俺が欲しいものですか? うーん……あるにはありますけど」

「私は沢山あるわ! 詳しくはマードラ商会へ行ってから話しましょう!」



「ということでいつものコーナーです」

「えー……私の欲しいものアピールはどうなるのかしら」

「いやー。ここまで会場が険悪ムードになるなんて」

「だってブルースの戦いはこれからだー! ってところで終わったじゃない?」

「それはそうなんですが、長いバトルはなぜか好まれない……」

「そうね。大体ワンパンで片付ける方が面白いじゃない」

「えー……見てから死ねー! ハーロイーン! とかやるにも俺にそんな実力がありませんが?」

「ま、まぁほら。あんたまだ進化したばっかだから、ね?」

「実はこの物語……次回がラストなんです!」

「……えーー!?」


 はい、ということで来週一話でウルフィちゃんの物語はいったんの完結となります! 


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