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ブルース対シロンの竜狼バトルなのです! 

 開幕直ぐに距離を取りました。

 ブルースはそっぽを向いたまま余裕を見せています。

 眼中に無いんですか、そうですか。

 ではまず、俺の先制攻撃、いかせてもらいましょう! 

 進化後ぶっつけ本番が竜なんて、想定していませんでしたが……能力にこの項目を見てから使ってみたかったんです! 


「パラグラマティックムーブ発動!」

『おおーーっと! シロン選手が……一、二、三点…分裂した? いえ、これは残像のようなものが見えます! シロン選手はとてもゆっくり動いているのに残像のようなものが!」


 これは! やはり移動に関わるような能力! 

 でも体に密着しすぎていますので、残像とは違います。

 マウスポインタ―を追尾するあのシャドウモードみたいなものです。

 これに一体どんな効果が!? ええっと……、紫苑の両手!」


『今度は紫色の手!? 手を放出しました! まさかこんなことが出来る狼がいるとは驚きです!』

「いけ、紫苑の両手!」

「……」


 ブルースの奴は余裕そうにそっぽを向いているだけです。

 自由に動くおれの両手が奴を襲います! しかも放出した両手にも残像のようなものがつきます。

 これ、動き見やすくなっただけ? 使い方が違う気がします。

 ブルースは俺の両手を面倒そうにバシッと前足で弾き飛ばしました……。

 さすがは竜。この程度、攻撃とすら認識されず、うるさいハエでもいたかのようにあしらわれました。


 今のは本の挨拶代わりです。

 

「おいホノミィ。起きてるだろ。そろそろ出番だ」

「……なんでばれてるの? いーやー! ドラゴンと戦うなんて……あれ?」

「お前も大きくなったのか!? 羽が四枚に増えた!? あれ、小さくなった」

「進化したんだわ! ついにホノミィちゃんの時代ね!」

「ブルース、そろそろおしまいにしてあげなさい。ウォーターブレスだ!」

「ゴガアアアアアアアアアアア!」


 俺がホノミィとしゃべってる間に、ブルースは口腔内に水を生み出し、両手両足を地面にぴったりとくっつけて低い姿勢から一気に水圧がすごそうなブレスを吐き出しました! 

 考えてる暇はありません! 使うしかない! 


「背徳浮遊歩行!」

「いー……やー? あれ、空飛んでるの? シロンが? あんたやるようになったじゃなーい!」

「お前はだまって例の作戦を遂行する準備にかかるんだ」

「例の作戦って……いーやー!」

「いーやー! はいいから真面目にやらないと竜は倒せないぞ! あいつに勝ってバカにされたのを取り消させるんだい!」

「ふーん。少し男らしいところもあるんじゃない。いいわ、このホノミィちゃんが協力して……いーやー!」


 結局いやなのかーい! と思って下を見てみると、さらに第二発目のブレスを構えていらっしゃるブルース。

 それにしてもこの背徳浮遊歩行。普通に空を走る感じじゃないんです! 

 いえ、空を走ってる時点で普通じゃないんですけど、背徳……すごく悪いことをしている感覚が自分の中に芽生えていく感じがして長く飛んでられません! 

 デメリット付きの浮遊方法。

 貴重な技だけど使いどころが難しいです。

 つまり他の背徳がつくものもそれに準ずる効果があるのでしょうか。

 俺が空を飛んだので、さすがにカインドもブルースも警戒を強めたようです。

 場内は静まり返り、ご主人は目をきらきらさせて興奮している以外なにもしてません。

 つまりこの難局は俺とホノミィで乗り切るしかない! 


「ブルース! 久しぶりにお前がやる気になる強敵だ! まさかあの小さな面白い犬がこんな化け方をするなんて思いもよらなかった。楽しいバトルだぞ、ブルース!」


 こっちは全然楽しくない展開なの! どうしよう、能力の使い勝手が分からない以上新しいのを使うのは危険ん。そうだ! 


「出血!」

『なんと、白神狼の体がみるみる赤く染まり、大量の血が落ちていきます! ブルース選手はまだ攻撃していない! 遅効効果のある攻撃をしていたのでしょうか!? 突然上空から降ってきた血液に、ブルース選手、目に血液が入ってしまったかー! ブレスを撃ち損じました!」

「血液燃焼だい! いけ、ホノミィ!」

「……シュボッ!」


 いっきに燃え上がるブルース。

 あちこちから火を発して上空に挙げていた首がもたれ落ちます。

 よし! 効いたぞ! 俺はふわりと着地して背徳感から解放されました。

 この技、辛いです……。

 

「ブルース! 一体どこから炎が!? そうか、精霊か!」


 よしよーし。いい勘違いですカインドさん。

 ホノミィが着火したように見せておけば、俺の能力が血液燃焼させられる極悪能力だと分からないでしょう。

 まぁホノミィとの連携はこれが第一段階。

 

「やっちまえホノミィ! 異界召喚……油!」

「んんんーーー、シュボボッ!」


 以前より火力と範囲が増したホノミィの炎が油とまざって大爆炎。

 名付けて……「見たか! これが俺とホノミィの新技。油まみれにー、ジョイ! だ!」

「いーやーーー!」


 一気に燃え上がるブルース。

 しかし……水を放出して炎をかき消しやがりました! 

 大分効いているとはいえ、こいつは水竜。

 火が効きづらいのかもしれません。

 鱗は更に青く輝き、傷もさほどはない様子。

 ただ警戒は更に強めています。


「うそぉ!? ホノミィちゃんのスペシャル火炎、効いてない? いーやー! どうするの? いーやー! ねえ、どうしよう!」

「落ち着け。俺は竜と五分に戦えている! わっはっはっはー! 俺の時代、到来! ……ええーっ」


 どうやら怒らせてしまったみたいです。

 ブルースは大きな翼を羽ばたかせて、空を飛び始めました……。



「一話で終わらないの? ねぇどうなるの? どうなるのよ!? ポテチ一袋食べ終わっちゃったじゃないの!」

「ぎょえー、油が俺の毛につくので止めてくださいー!」

「もう一話ないの!? ポテチももう一袋ないの!? ねぇ、ねぇってば!」

「俺のポテチは一袋試しに作っただけなのでそれしかないです……」

「にしても背徳浮遊歩行ってあれ、使い方間違えてるんじゃないかしら」

「やっぱりそう思います? 背徳感がすごいんです。空飛んでるだけで犯罪者な気分がします」

「うーん。あんたの能力全部調べてみないと分からないわね。作者はどういう意向で作ったのかしら」

「この作者、きっと背徳という厨二っぽい響きが好きなんですよ、それで……」

「でも、能力としてはきっと強いわよ。まだ視線と牙もあるんでしょう?」

「視線は目を逸らすので見てくれませんし、キバはそもそもあの鱗に通じるかどうか。後半戦、工夫が必要ですね」

「それはいいけどホノミィとの連携名はなんんあのよ」

「油汚れに―、ジョイ!」


 ……それ、油を落とす方ー! 

 また来週! 

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