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シロン、進化のお時間です

 うーん。シロはやっぱりふっくら焼き上げたパンのようにもっちりふわふわだなぁ……。

 

「ふみぃ」

「はっ!? ここは……あれ、シロはどこ?」

「お早うございますふみぃ。さぁ、進化のお時間ですよぉー」

「進化……そうかあの後レベルが上がって眠くなり、ついに進化する時間!?」


 気づいたら俺はいつものように進化をする謎の場所にいました。

 

「んじゃ、俺をフェンリルにしてください!」

「フェンリルふみぃ? ……レベル三十。出来なくはないふみぃ。でも、シロンさんの場合はただの進化じゃないふみぃ」

「それ、ニャトルも言ってたな。どういうことですわん?」

「シロンさんはウルフィという特殊なウルフ族ですふみぃ」

「詳しく! 何だお前は俺の種族について知ってるのか!? あのバカ猫は知らなかったのに?」

「ふみぃ。ニャトルさんはお勉強をサボって寝てばかりいたふみぃ」

「さもありなん……なんでそんな奴が俺の担当だったんだよ!」

「仕方ないですふみぃ……あまり時間がないですふみぃ。でも、転生神様が神会議でお出かけしてるようなので、少しだけなら時間拡張出来るふみい」

「ん? 転生神? そいえばニョガルってやつがバカンスに行くって言ってた」

「……ふみぃ? 今なんと仰いましたふみぃ?」

「だからその転生神ってやつがふみぃに全部仕事を押し付けてバカンスに……ひっ」

「あのクソ神、引き裂いてやるふみぃ……」

「お、落ち着けって。な? それよりも話を」

「いい情報を教えてもらったお礼にちゃんと時間を取って説明してあげるふみぃ」


 う、うん。情報って大事だね! 役に立ったよ! 

 そしてよく話を聞いてみると――「ということでふみぃ。分かったふみぃ?」

「つまり、死んだ魂をこの世界でホワイトウルフに入れてみる実験をしてみたら、ホワイトウルフというありきたりな最弱種族が突然変異を起こした、と。そして、その魂が異界からいろんなものを引っ張って来る力が宿ってしまい、あれこれ召喚するから検査が大変だ、と。こう言いたいわけだな?」

「ふみぃ。大体あってるふみぃ」

「冗談じゃないぞ、ガルルルー。なんでそんな適当に魂を淹れられなきゃいけないんだ!」

「犬のようになりたい……そんな気持ちが強くなかったですふみぃ?」

「う……はい。そうでした。それのせいかよぉー!」

「でも、ホワイトウルフに入れたのは想定外だったみたいふみぃ。そしてその能力も規格外だったふみぃ。ちゃんと呼び出せないものがあるのは、検査を入れてるからふみぃ」

「食べれそうなものが呼び出せなかったけど虫は召喚出来た!」

「虫は呼び出した後消えてるふみぃ。なるべく生物は避けた方がいいふみぃ。生態系を変える可能性があるふみぃ」

「それより進化だ、進化! ドラゴンより強い種族に変身したいの!」

「それは難しいふみぃ。フェンリルは珍しいふみぃ。でも、革新進化じゃないふみぃ。今まで覚えた能力をフルリセット。新しい狼型に大変身、というのはどうふみぃ?」

「うーん。あれ? フェンリルから逸らそうとしてない?」

「……してないふみぃ」

「んじゃ質問だ。狼系統最強の召喚獣といえば!」

「ふみぃ……最強ふみぃ? 難しい質問ふみぃ」

「じゃあ強い奴を列挙してみてよ。そこから考えてみるから」

「ふみぃ。確かにフェンリルは強いふみぃ。でもケルベロスなんかが……」

「却下です! 三つも顔はいりません! あんなのになったらそれこそ笑い転げられるわ!」

「地獄のブレスや眼から炎を吹き出すのは強いふみぃ。でも、色合い的にも合わないふみぃ……それなら、ちょうどいいのがあったふみぃ。その者、常に太陽を追いかけ日食、月食を引き起こさん。天空の怪物にしてフェンリルの子……」

「フェンリルの子!? そうそう、そういうやつ! なれるの? なれるんだよね? いいんだよね?」

「その者の意は、高笑い、騒音などを示し、とかくうるさくしゃべるふみぃ。革新進化するにはさらに異能をつけるふみぃ」

「あれ、なんか方向性変わってきたな」

「ワンハンドを変更ふみぃ。浮かぶ紫の両手に取り換えるふみぃ。そして大きく遠吠えすると日食月食を引き起こして夜の力で……」

「おいおい。それって俺が考えなくていいの!?」

「いいふみぃ……これであのくそじじいを青ざめさせてやるふみぃ……にゅっふっふっふ」

「……話がどんどんおかしな方向に進んでるぞ。俺の進化だよね? 俺が決めるんだよね?」

「さすがにこれ以上時を引き延ばせないふみぃ……深淵の神々による祝福により、我が考える新たなる姿をシロンに映し出さん。我はふみぃ。我の想いを受け入れ、革新的種族をシロンへ導かん。神獣、スコル……シロンハートに革新進化ふみぃーー!」

「え? え? なんか変だったよ? 汝じゃなくて我なの? 俺の進化なのに我なのぉー!?」


 ……これはやられたかもしれません。

 俺は一体どうなったんでしょうか。



「……進化で一話使うとは思わなかったわ」

「俺もです。大事な進化だったに違いないです! というか俺がどうして爆誕したのか初めて知りました!」

「それで、どんな狼になったの?」

「さぁ……?」

「少なくとも紫色に浮かぶ両手とか言ってたわよね。あんた、もしかして……凄く強化されたんじゃないの?」

「紫色の手でパンを作るのか……紫芋パンがいいのかなぁ」

「パンの話はどうでもいいでしょ! それよりも、スコルって何?」

「なんでもフェンリルと鉄でできた森に住む女との間に生まれた子供なんだとか。詳しい文献は多くはないんですが面白いお話ですよ。俺はついにフェンリルパワーを手に入れた!」

「……鑑定してみないと何とも言えないわね。はぁ、今週はこれでおしまいだし、鑑定結果は来週かぁ」

「楽しみは毎回取っておかないとですね!」

「今回で全部終わらせて欲しかったわ。だってまだ戦いの最中よ?」

「えっ?」


 そうなんです。それではまた来週! 

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