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シロンが休んでいる間に……

『会場の皆さん。本日試合が予定より早く終わったため、急きょもう一戦行って本日分を終了といたします。ぜひ最後までご覧ください! 本日の最終戦。ルビニーラ選手対ガレット選手ですー!』


 ――ニャ? ついつい大爆睡してしまったニャ。

 それにしてもこの空間は眠くなるニャ。


『ラールル、ラールル、ラールルーラー!』

「ニャガ!? もうニャトルの出番ニャ?」

「いっけー、ニャトルちゃーん!」

「ニョガーッハッハッハ! ここまで奇跡的に勝ち上がってきたようだなニャトル」

「ニャガ? ニョガルが三回戦の相手ニャ?」

「ふん。実力の違いを見せつけるいい機会だニョガ。お前なんか鼻息でフーンと飛ばしてやるニョガ」

「ならニャトルは欠伸だけで倒してやるニャ。さぁサルサも手伝うニャ!」

「ん? 私お手付きだから無理。頑張るのよーニャトル。負けたら焼いちゃうわよー」

「物騒なこと言ってるニャ。仕方ないニャ。実力を見せつけてやるニャ!」

『それでは試合開始ですー!』


 ふん。相手はニョガル。戦法が手に取るように分かるニャ。

 あいつは脳筋ニャ。直ぐに腕力にものを言わせてつかみかかって来るに違いないニャ。

 ニャら……「スゥーニャーー」

『これは、ニャトル選手! いきなり空を飛び始めました。そして手に持っているあの道具はなんだぁー!?』

「ふん。おかしな進化をしやがって。転生神様もさぞや驚くに違いないニョガ。食らえ、ニャンゴログルグルボウル!」


 丸まって弾力とともに高回転で飛び上がって来るいつもの奴に違いないニャ。

 簡単に避けられる……ニャ? 


「いっくよぉー、ニョガルちん。うみゃあーー、うみゃあーなニードル装着」

「ニャ?」


 先端がトゲトゲしたものをニャトルにつけられたニャ。

 この子一体何してるニャ? これが的になってニョガルがそこに突撃してくるニャ? 

 だとしたらまずいニュ! 


「くらえ! ニードルニャンゴログルグルボウル!」

「……ニャ? ニードルってそれニャトルについてるニャ……」


 丸まって突っ込んできたニョガルの攻撃を食らったニャ。

 食らったニャガ……痛がってるのはニョガルの方ニャ。


「痛ぇ! こいつ、いつの間におれについていたニードルを! まさかご主人との連携技を見破ったのか!?」

「えへへ……つけるの間違えちゃったうみゃあー」

「お前のご主人、うちのご主人並みにバカニャ」

「……ええいこうなったら!」

「させないニャ! ホースの力を食らうがいいニャ!」

「ニョガ? なんだこのムチは。頑丈でほどけないニョガ!」


 やってやったニャ! ホースでぐるぐる巻きにしてやったニャ! 

 チャンスをものにしたニャ。

 ここから新技の……「よーし私も風魔法で応援するよ!」

「ニャ!? 風が強いニャ! ちょっと待って欲しいニャー!」


 ……突然の突風で持っていたホースが飛んで行ったニャ。

 ぽてりと落ちたホースのお陰でせっかく捕まえたニョガルが解放されたニャ。


「いまだ―、いっけーニャトルちゃーん!」

「うみゃあー!? ま、まずいうみゃあー?」

『全然まずくないニャ』

「お前の主人は何やってるニョガ? 戦いの邪魔してるニョガ?」

「そっちだってそうニャ! 足手まといニャ!」


 このままでは決着をつける前にご主人に殺られるニャ。

 新技を披露するしかないニャ。


「すぅー……」

「また浮かびやがったニョガ。今度こそ叩き落してぺっちゃんこにしてやるニョガー……ニョガ!? き、消えたニョガ」

『なんとーー! びっくりです! ニャトル選手が、消えました!? しかし場外ではありません! 文字通り、消えたんです!』

「うみゃあー!? 消える猫なんて絶対欲しいうみゃあー! ニョガルちん。あの子絶対欲しいー!」

「ニョガ!? はったりに決まってるニョガ! その辺攻撃すれば当たるに決まって……」

「今ニャ! ケンの尻尾ラッシュニャ! ニャニャニャニャニャー!」

「ニョガ!? 突然背後から現れたニョガ!? ニョガガガガ」

「ニャゴハーーーッハッハッハ! これが気配しゃ断の能力ニャ……ぜぇ、ぜぇ……息苦しいニャ」

「……お前、そのまま場外に突き出せばよかったんじゃないニョガ?」

「ニャ?」

『確かにその通りです! ニャトル選手、一体何を考えているのかー!』

「相変わらず間抜けな奴ニョガ。それーー!」

「ニャガーー! 放り投げられたスゥー、ニャー」

『ニャトル選手、放り投げられつつも再び空を飛んで場外を回避。これは長期戦になるかー?』


 危なかったニャ。あんまり勝負を長引かせるとこっちが不利ニャ。

 休憩しないとそろそろ飛べなくなるに違いないニャ。

 

「うみみゃ! そろそろフィニッシュだよぉ、ニョガルちん。お助けアイテム、ガレット特製ねこじゃらしー! えいっ」


 な、何か面白そうなもの投げて来たニャ。

 あの子はなんでニャトルに投げるニャ? 

 

「ニャ?」

「ニョガ?」

『こ、これは……両選手とも、落下してきた道具にくぎ付けです。前足で攻撃し始めました!』

「ニョガ!?」

「ニャ?」

「あんたら、真面目にやんなさいよね!」

「空を漂う空気よ。万物ありて彼の者を動かす風となれ、ウインドムーブメント!」

『間髪入れずにルビニーラ選手が突風を起こします! 今回は両助手がどちらもお手付きで動けません! あ……」

「これはニャトルのだって言ってるニャガガガガ!」

「うるさい俺の主人が出したんだから俺のだって言ってるニョガガガ」

『これは壮絶な猫キックバトル! 両者ひっくり返って猫キックの応酬です。体格差で弾かれたのはニャトル選手! そして、その隙をついて空中に浮かんだ道具にダイブするニョガル選手!』

「うみゃあー! さっすがニョガルちん!」

「……本当、どっちもバカよねー……」

『華麗にキャッチと共に場外へ着地したニョガル選手ー! お見事、お見事です! 勝者はニャトル選手ー!』

【シャキーン】

「ニャ? ニャゴハーーッハッハッハ! ……か、勝ったニャ?」

「ううーん。やっぱりシロンがいないと盛り上がりにかけるわ……でもいよいよ決勝ね!」



「あの。俺の出番まるっとなかったんですけど何してるんですかね」

「進化じゃないの? 知らないけど」

「つまり俺は爆睡中……ならなぜ今しゃべってるんですか! 妄想ですか? そうですか」

「はぁ……この話は退屈だわー。私もすることないのよねー」

「なんならご主人が少し活躍してました。それにしてもニャトルのやつ。もっと面白猫にならないといけませんね。奴は確実なボケ役。突っ込みがいないと引き立ちません」

「対戦相手もボケだしルビーもボケだしね。なんなら相手側の召喚士もボケだったわ」

「そんなボケだらけじゃバランスが悪いです。あの、ところで」

「何よ」

「いえ……気のせいかな」


 気のせいじゃないような。はい、次! 

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