ルビニーラ応援隊長のマードラさん
二回戦目も無事勝利した俺とニャトルは、召喚獣が待機する世界でゴロゴロしております。
「結局浮かんだだけで勝ってしまったニャ。あれじゃレベルも上がらないニャ」
「お前そーいや次は何に化けるつもりなんだ?」
「誰が化け猫だニャ! 進化だニャ! この格好も飽きたニャ。次は空を格好良く飛ぶニャットフライにでもなるニャ」
「嫌な予感がするがまぁ頑張れ。そうだな次の試合はお前が先陣だったはずだ。レベルが上がったら交代だぞ。そうしないとその次の試合が大変だ。負け辛くなる」
「仕方ないニャ。それにしても二回戦目の鳥は一体何がしたかったニャ?」
「コッカトリスって頭二個あるだろ? 蛇の方が指示を聞いてニワトリが動いてたから、指示が無くてニワトリが勝手に行動して落っこちたんだろ」
「ニャゴハーッハッハッハッハ。飛べると勘違いしたニャか」
「多分何も考えてないぞ。本体、蛇だもの」
「ニャガ!?」
そうなんですよ、あれはどうみても蛇が本体です。ニワトリのツメに石化効果があるのに、蛇が本体なものだから上手く攻撃出来ていません。
それより口寄せされた奴がきっと攻撃しやすくしてからツメで攻撃されていたらやばい相手でした。
まぁ対処方法はあったんだけどね!
「それで、次の対戦相手はどんな奴ニャ?」
「さぁ。さすがに三回戦まで勝ち上がる相手なら弱くはないだろ。負けそうになったら交代だ」
「ふん。返り討ちにしてやるニャ!」
そんな会話をしていると、いよいよ三回戦の始まりです。
俺は高みの見物といこうじゃありませんか。
『いよいよ始まる三回戦。本日の試合はこれが最後です。選手の方々、召喚をどうぞ!』
『ラールル、ラールル、ラールルーラー!』
ふう。これで一休みっと……あれぇ?
「いっけー、シロンちゃーん!」
「次はニャトルの番って言ったのにぃーー!」
『現れたのは現在人気沸騰中の名犬、シロン選手です! 余裕のうたた寝ポーズで登場だー!』
「……あんた、何一人だけ休もうとしてるわけ? 私だって、ゆっくり寝たいのよ?」
「サルサさん。もう負けてもいいですか? あの相手と戦いたくないんですけど」
『そして、対戦相手はなんと! 一回戦も二回戦も対戦相手が危険をした召喚獣、マンティコアです!』
対戦相手、超怖いです。
だってね、顔が人型なんですよ。それでね、胴体は縦長ライオンなんです。
しかもしわしわおでこのおじさん顔ですよ。
そりゃ顔が怖くて危険しますよ。
などと考えていたら、背後から大声援が上がりました!
「フレーーーーッ! フレーーー! ワ、ン、コ、ロ! フレッフレッルビー様! フレッフレッルビー様! ほら、アイシャもプレりんもさっさとやる!」
「フレッフレッ……恥ずかしい」
「ウギャア! オーーーウウ!」
何ですかあの応援は。俺をワンコロ呼ばわりだとっ!?
よく見たら初戦に指先一つでダウンさせてやったプレりんとその召喚主マードラ、助手Aのアイシャじゃありませんか。アイシャだけに助手Aですね分かります。
それにしてもあの恰好。あれはチワワガールというやつでしょうか。犬の被り物をして応援しています。
「キャーーー! ルビー様こっち向いて! なんなら私を公衆の面前で引っぱたいてー!」
「……恥ずかしい」
変なものに目覚めてしまったようですが放っておきましょう。
ご主人は「う?」といった表情のままちらっと見ただけで見なかったことにしていました。それ、正解です。
「シロン。活躍して勝ちなさい。ここでマード商会のご令嬢に嫌われるより好感を持ってもらった方が後々美味し……いえ、都合がいいわ!」
「本音ダダ洩れだなぁ……まぁ、戦っては見ますけど、マンティコアって確か人を喰う化け物ですよね。食われないように注意しないと……うん?」
あれ!? 一体どういうことでしょう?
「審判! あっち召喚獣二匹出してるじゃないですかー! もー!」
『ええっ? こちらからは一匹にしか見えませんが?』
「ほら、場外にもう一匹マンティコアがこっちを見てます! ガルルルー」
『あれは召喚主のテゴアさんです!』
「……オット、失礼シマシタ……」
『ペットは飼い主に似ると言いますから……さて、いよいよ試合開始です!』
「わしゃ怒ったぞ! おいアレフ! 奴を八つ裂きにしてしまえ! ピノット。お前は手を出すんじゃないぞ!」
「へーいへい。本当は嬉しいくせにー」
ついに始まる召喚戦第三戦。
油断ならない相手ですが、俺と奴の差を見比べてみましょう。
まず俺の体格は奴の二十分の一ほどしかありません。
言うなれば馬と子犬くらいの差ですね。
そして顔。これは圧勝です。奴はおっさんで俺はイケワン。
ここまではイーブンとしようじゃないか。
そして問題なのは能力。俺は異界召喚という究極能力持ち。
大して奴は異形のおっさん顔持ち。
こいつはいい勝負になりそうです。
「おいチビ」
「うわ、しゃべった! おっさんがしゃべった!」
「危険しないならお前を喰っちまうぞ!」
「食えるもんなら食ってみろ! このおっさん!」
「いーやー! 食べられるなんて、いーやーー!」
「……? なんだ? どこからか天使の声が聞こえた気がしたが……」
「ホノミィちゃんは天使じゃないもん! 精霊だもん!」
「おい! お前の頭のそれは……」
「ん? ホノミィか? ホノミィは俺にまとわり憑いた精霊らしい」
「結婚してくれ!」
「いーーーーやーーーーーー!」
「はい始まりますよ三戦目」
「始まる前から終わってない? これ」
「何を言ってるんですかサルサさん。戦いはこれからだ!」
「不吉なワードが出てたわよね。ていうかなんでまたマードラが出てるの? 私より目立ってない?」
「俺の予想では第六天魔王の魔里さんが登場かと思ってたんですけどねー。相変わらずキャラが多い!」
「それにしてもマンティコアは初めて見たわ。人の顔を持つだけあってしゃべれるのね。会話はしたくないけど」
「おまけに好みがホノミィって。こいつはひと波乱ありそうです」
「早く次のお話が読みたいわー」
「今日はこれでおしまいですよ?」
「はぁ? 冗談じゃないわよ。三回戦目が始まるんでしょ? 始まるのよね? また来週なわけ? ちょっとー!」
「いえ、日曜日に一話投稿する予定です。なんと作者は旅の途中らしいです」
「ふーん。いいご身分じゃない。燃やしてやろうかしら」
「ちゃ、ちゃんとした作家活動らしいです。普段が修行僧みたいな生活ですから許してやってくださいね……」
「ふん。まぁいいわ。私だってバトルオリンピアが終わったら旅に出るんだから!」
「それ、黒百合様が絶対許してくれませんよね……」
『はぁ……』
ということで一日遅れで次の話を投稿します……! 遊びも無ければなんなら夕飯はクッキー一枚でした……。
朝食も無いのでひもじい朝を迎えています。