召喚獣バトル! 開始?
「それで対戦にあたり……対戦内容は交互に決めるでよいな?」
「うん! 最初は私からだね」
「待て待て勝手に話を進める出ない。何でそうなるんじゃ!?」
「そりゃあ、ご主人ですから」
「そうね。ルビーだもんね」
「当然ニャ」
「……お主ら本当に苦労しておるようじゃのう。まぁよい。では対戦内容は?」
「えっと、じゃあ……水の中で誰が一番息がもつか!」
『えっ?』
俺、ニャトル、ケルビー、レジェンドフェアリー全員が凍り付きました。
あんたー! 召喚獣に何させようとしてるのさー!
「ほ、本当に変わった娘じゃな……わしはてっきり戦闘かと思うておったんじゃが」
「ルビー、あんたって奴は……」
「おーっとここでレジェンドフェアリーのフェリ選手! 既にギブアップを告げる
バツ印の札を何処からか取り出して掲げているちゃ!」
「司会をかすめ取っただと!? こいつ、出番の無さを逆手に取り上手く立ち回りやがっ
た」
サルサさんの前でにやりとするちゃちゃ。
こいつ、侮れないな……。
「な、なんと! 続いてニャトル選手も棄権だわ! 猫は水が苦手。いえ、それよりも
やる気全く無し! ザ、猫!」
すかさず突っ込みのサルサさんも司会モードに切り替わります。
両者に激しい火花が散っているのを俺はみました。
そーじゃなくて! 何で棄権なんだよ! これじゃ俺とケルビーさんの一騎打ちじゃな
いか。
そう考えている間に、いつの間にか水が張られた巨大桶が目の前に。
やるの? 本当に? 確かに水で洗ってって言いましたよ?
でもね、対決なんて言ってない。
「ゴー! シロンちゃんゴーゴー!」
「ヒヒーン……」
「分かる。俺も同じ気持ちだよ、ケルちゃん」
「ヒヒーン?」
「ああ、その通りだ。十秒。十秒で同時に出るぞケルちゃん」
「ヒヒーン!」
「よーい、ゴーー!」
「ガボボボボボ……」
「ヒヒーー……」
一斉に沈められる俺とケルちゃん。
そうだ、十秒、十秒で出るんだ。
……お前だけな! フハハハ! 俺の策略を知……「ええっとお水だけじゃ
冷たいだろうからね。燃え盛る大気の熱よ。万物を焦がしその身を滅ぼせ!
フレイムアロー!」
双方の水に火の矢が飛んでいき、温度が上昇していきます。
聞いてませんよ? どういうルール何ですか?
そして十秒経ったけどケルちゃんは外にでません。
くそ、俺の謀略がばれたのか!?
あの馬……思ってたより賢いようだ。
「はい、十五秒経過ー。また熱くなりまーす」
「ふっふっふ。ケルちゃんは熱にも水にも強いんじゃ。これはわしの勝ちかのう」
く、苦しくなってきました。たったの十五秒で。
ええい、こうなったら、あれだ!
「ガボボ、ガボボボボ!」
水の中に出て来たあれを口に含み……少しだけ浮かび上がります。
そしてシュコー、シュコーと息継ぎをする俺。
ふっふっふっふ。水から出なければ良い。
ならば水の中で息を据えれば問題あるまい!
必殺、シュノーケル召喚だ!
「あー! あいつずるっこしてるニャ!」
「これは……でも反則にはならないわ! やるわねシロン……」
「良いぞー! さっすが私のシロンちゃん!」
「あ奴、やはりけったいな能力を使うようじゃのう」
「……ヒヒーーン! ブルッブルッ」
「ガボボボボ……」
息が吸えても温度が熱すぎるんですけど!?
モー無理! サルサさん、フレイムアロー入れすぎです!
「ブハッ……あれ、勝った?」
「うむ。初戦はお主の勝ちで良いじゃろう。じゃが、これは召喚獣バトルとはいえぬぞ。
ただの水浴びじゃ」
「え? え? だってシロンちゃんが水って言ったからぁ……」
「ご主人! ちゃんと聞いてくれてたんですね! 今度は乾かしたいです」
「ふむふむ。なれば次の対決はわしが決める番じゃな……そうじゃなぁ。それなら
乾かすのにうってつけな徒競争にするかのう」
「おーっとここで次の召喚獣バトル内容が決まったちゃ! 次の対戦は何と、走れ犬共!
知れ犬走ってチキチキバンバンレースちゃ!」
「わし、徒競走って言ったんじゃけど」
「あんた、余計なものまでつけるんじゃないわよ! 用意すんの大変なんだからね!」
「かけっこならシロンちゃんの勝ち間違いないね! やったー!」
「どうみても敗北確定なんですけど? 見て下さいあの足の長さ。そしてレジェンドフェアリーの
あの早そうな動き。俺に勝てる要素一つも無いですよね?」
「ニャゴハーッハッハッハッハ! ニャトルはかけっこなら得意ニャ。シロンなんてぶち抜いて
やるニャ」
「お前は味方だと思うんだけど。だがこいつにだけは負けん!」
そしてあっという間に敷設されたレース場。
どうやったの? どうやってこしらえたの?
しかもここ、学校なんですけど?
ギャラリーまで沢山出てますけど?
いつの間にか増えたギャラリーに対戦場所。
その犯人は……傍らで見ていた先生たちでした。
あんたらー! 授業をちゃんとやりなさいよ!
「なんだか大変な騒ぎになってるわね」
「そりゃそうですよ。窓から落下する犬。それを空中で助けた初代卒業生。俺たち
悪目立ちしてませんか」
「それがあの黒百合って人、有名みたいなのよね。だからお咎めも一切ないみたい」
「ふうん……ただのお婆ちゃんじゃないんですね」
「下手なこと言うとナイフが飛んでくるわよ……それにしても召喚獣まで呼び出すなんてね」
「ケルちゃんとフェリちゃんですね」
「どちらも召喚契約難易度はAクラスよ。あんたをFとすると……」
「何で俺がFなんですか!」
「だってあんた、ホワイトウルフでしょ?」
「ぶー。違います―。俺はウルフィ! レジェンドクラスのウルフィです!」
「そんな種族、いないはずなのよねぇ……」
「イレギュラーが売りのシロンです。はい」
「ま、ひとまず頑張りなさい。ルビーのためにもね」
「頑張り過ぎるとドラゴンバトル一直線なので俺は頑張らない!」
また来週!