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火炎精霊と結ばれたので炎顔面で生きていきます

 ――翌朝といっても夜。

 ぐっすりと寝た俺は、傷頭たちの騒ぎで起きます。

 しかし、ものの数十秒で静かになりました。

 ……何せここは、クロネ族のアジトのようなもの。

 包囲網を敷かれているのです! 


「さて、これからどうしよう。町を見物ってわけにもいかないでしょう」

「それもそうなのよね……うろうろするとまた驚かされそうだし」

「お前らが勝手に驚いてるだけだろ? この町じゃなくてビッグノーズのとこでも

見てったらどうだ」

「オウ、ザッツグッドアイデーアー!」

「どういう意味ニャ……」

「そいつぁーいい考えだって意味に決まってるだろ」

「そーいやシロンは変な言葉使うよな。一体何でなんだ?」

「ふっふっふ。ついに尋ねてしまいましたね。それを待っていたのですよクロマさん。

俺はね……」

「ただのバカニャ」

「ただの転生者……おいつられてただろ!」

「転生者? そしたら何であいつら、転生しねーんだ。可哀そうだろ」

「あいつらって、クロマさんが入っていたあの人?」

「そうだ」

「転生とは生まれ変わりニャ。だから死んでないと転生出来ないニャ」

「ふーん。面倒なんだな、転生って」

「あのね。生きてるうちに生まれ変わるなんて出来ないの。わかる?」

「喋り方が元に戻った!? おいニャトル。そういったケースがあるのを俺は

知ってるぞ! それはな……覚醒と呼ぶのだ!」

「おお、クロマとしてはそっちの方が恰好良くて好きな響きだぞ」

「……あんたたち一体何の話してるのよ」


 早夜からやいのやいのと井戸端会議をしている俺、クロマさん、ニャトルを見て

呆れるサルサさん。

 ごもっとも! 俺たちは一体何の話をしているのでしょう? 

 

「ところであんた……本当にその変な奴、連れてくの?」

「変な奴とは失礼ね! これでもれっきとした妖精なのよ!」

「ふぅーん。じゃあ契約してみせなさいよ。妖精なら精霊だから契約出来る

んでしょ?」

「それは無理よ。だって火炎妖精なんだから、炎を身に纏うような魔獣とかじゃない

と出来ないもの。人間でも炎を纏ってる様な特殊な人じゃないと契約なんて出来ない

わ!」

「そう。シロンよかったわね。あんた火炎妖精なるヘンテコな妖精と契約出来そうよ」

「契約ってなぁにー? 俺これ以上おかしくなりたくないよー?」

「すっとぼけた顔しないの。ほら、これ読んで」


 俺と俺の頭にしがみついてるホノミィことローグチクリンは、差し出された紙

を一緒に読む。


「えーっと。炎の盟約。汝我が身上に宿いし其の力。我が魔珠を糧とし

我の望みを叶えん。精霊よ、我の炎を増大し、更なる力を我に授けん」

「えっ?」

「はい? 何のこと……」


 訳が分からないと思っていたんです。

 しかし! それは突然のことでした! 

 俺の頭がボーボーいいだしたんです! 


「ほわっ! 燃えてる燃えてる! 水! 水!」

「あら。こうなるのね……へぇ……ちょっと強そうに見えるわ。

差し詰めそうね……フレイムモード? ってところかしら」

「顔しか燃えてません! これでは顔面フレイムモードです!」

 

 なんと俺は精霊の力を宿した!? いやいや待て待て、やかましい炎の

精霊なんてお断りだ。断固として! しかも顔だけ。


「これ、どうやって解除するんですか?」

「時間経過だったかしら。本当に契約出来るとは思わなかったけど。精霊って

いうのは契約して力を借りる存在なのよ。ただ、人間だとあいつが言ってたよ

うに、特殊な条件を満たさないと契約出来ないの。でもあんたは召喚獣。契約

を成立させやすいのよね。よかったわねシロン。変な進化してて」


 この状況をよかったと判断出来るサルサさんはやっぱりおかしい人です! 


「あのですね。俺は炎特化型のキャラじゃないんです! どうすんですか、これぇ!?」

「まぁいいじゃないの。その精霊の声に耳を傾けてみなさい。きっと技のヒントがあるわ」

「精霊の声に耳を……」


 遠くから聞こえる声に耳を傾けるが如く、俺はじっと耳をそばだててみました。

 すると――「いーーやーーーー!」

 と全力で嫌がる声が聴こえました……。


「これから燃えキャラとして生きていくことになりましたシロンです」

「燃えキャラって何よ……」

「暑苦しいキャラです。相手の肩をつかみ青春の夕焼けにダッシュする奴です」

「うわ。それは嫌だわ……」

「もういい加減にしてよね! そんな簡単に力なんて貸さないんだから!」

「でもこいつ、結構ちょろいんですよサルサさん」

「知ってるわ。このタイプ、もう一人いたじゃない?」

「確かに……」



 また来週!

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