カルナ(2日目 昼 09:43) 関東鉄道竜ヶ崎線
「ちっ……やはりこの洪水では電車など動かんか」
この町でライブをやって欲しいと言われ、俺は祭りに参加した。
だがなんの冗談だこれは?
祭りの行事を見ていたと思ったら、俺は突然意識を失い、町はこの有様だ。
バンドメンバーとも連絡が取れない。それどころかスマホ自体が機能しない。昨晩は悲惨だった。
予約したホテルに行っても誰もいない。そもそも人が居なかった。
イベントで呼ばれたんだぞ。ここが田舎町だとしてもこの静まりようはおかしい。
それに俺が何度か倒した化け物。イベントの催しかと思ったが、あれは本当の化け物だ。生気が全く感じられなかった。
外が明るくなって町を歩き回ってみたが、化け物どもは姿を消してしまった。たまに霧の中で見かけるが、こちらには興味がないようだった。
「まぁ、こちらに興味がないのなら相手にしてもしょうがない」
あの化け物が霧の外を歩いてるのは見たことがない。単に好んでそうしているのか、それともそういう制限があるのか。そもそもどうしていきなりあんなものが出現したのか。
「とにかく今はこの町を出ることを考えたほうがいいだろう。しかし……」
電車はこれでは動かない。それに人が居ない。バスも同じだろう。駅に来てみたはいいがやることが無くなってしまった。
いや、やることはある。居なくなってしまった仲間を探さなければならない。そして、俺しかこの町にいないのならば俺がこの異常事態の原因を探す必要がある。
「人が集まるところか。と、本当に集まってきたようだな。また俺の歌が聞きたくなったようだなぁあ!! アンコールだ!!」