出会い
初めまして。物語の勉強も兼ねて小説を書きたい!と思い、今回挑戦してみました。是非1度読んでみて、改善すべきところなどありましたら、ご指導よろしくお願いします。
まだ夏の暑さが残り、燦々と輝く太陽の下、1人の少年が、1人の少女と出会った。
「真尋ー、牛乳もう無くなっちゃったからスーパーで買ってきてー。」
「えー、やだよー、だって外すごく暑いもん!」
夏休み真っ只中の今。外は立っているだけで汗だくになるほど暑かった。
「そー言わないで、お母さん今離れられないから。帰りにアイス買ってきてもいいよ。」
「ハーゲンナッツ。」
「はいはい。それでもいいから。」
「やった!」
真尋は先程とは打って代わり、機嫌よく買い物へ行く準備を始めたのだった。
「お母さん、今日のご飯なにー?」
「今日はシチューよ。」
「え?こんな暑いのに?」
「暑い日に食べるシチューがいいんじゃない!」
真尋の母である 東堂 静香は、さも当たり前かのように言い放った。
「まあ、僕も好きだからいっか。それじゃ!行ってきまーす!」
改めて考えてみるが、暑い以外に反対する理由もない真尋は、そう言ってスーパーへ向かったのだった。
カランコロン
「ありがとうございました。またのご来店お待ちしております。」
スーパーの定員からの言葉を聞き流しながら、袋からアイスを取り出し、真尋は食べ始めた。
「クゥァーーー!さすが高いだけはある!」
食べたことがある者は誰でも1度は思うであろう感想を洩らしながら、真尋は乗ってきた自転車の下へ歩いていくのだった。
「にしても、ここら辺はほんとなにもないよなー。」
見渡す限り田畑と家ばかりが目に入る、典型的な散村の風景を見て、真尋はそう呟いた。
「都会の若者は今頃カラオケやら、ゲームセンターやらで遊びまくってるんだろうなー。」
1番近くのスーパーでさえ自転車で、15分かかるのだ。大型ショッピングモールは言わずもがなだ。
「絶対大学生になったら都会に行ってやる!」
自転車を勢いよく漕ぎ出しながら、まだ小学5年生の真尋はそう決意した。
実際この辺りは、若者の多くが都会に行ったせいで、若者はほとんど居ない。これが俗に言う『過疎化』というやつだ。
「ん?あそこにいるの誰だ?」
スーパーからしばらくしたところにあるバス停に、人の姿が見えた
「どうしたんだろ?この時間なら、もうバスは出発したはずなのに。」
このバス停に止まるバスは、なんと8時間に1本なのだ。
そして、そのバスは17時発で、今はもう17時30分だから、既に出発しているはずだ。もしバスに乗るのだとしたら、あと7時間30分も待たなくてはいけない。
「少し声かけてみようかな。」
そのままバス停の側まで近づき、自転車から降りて近づいてみると。真っ白のワンピースを着て、麦わら帽子を目深に被った少女であることがわかった。
「あのーすみませ……ってあれ?もしかして……寝てる!?」
バス停のベンチに座る少女は静かに寝息をたてながら眠っていたのだった。
「あれ?ってことはもしかして乗り過ごしちゃった感じ?」
このバス停は普段あまり使われていないため、バスの運転手もあまり注意深く確認しないのだ。それに、このバス停には手前側と奥側にそれぞれひとつづつベンチがあり、おそらく日光を避けるためだろうか、この少女は奥側にあるベンチに座っていたし、そこには日光を遮る壁もあったので、なおのこと分かり辛かったのだろう。
「もし乗り過ごしちゃったんなら大変だけど、とりあえず起こして確認してみるしかないかな。」
真尋はその少女の肩に手を当ててそっと揺さぶってみる。
「あのー、すみませーーん。起きてください!」
「うんん……。えっとー、どちら様?」
まだ少し寝ぼけている様子の少女はイマイチ現状を理解出来ず、真尋に訊ねてきた。
「僕はこの近くに住んでるんだけど、見かけない人がいるから、少し気になって声をかけてみたんだ。」
疑われることのないように、今の状況と合わせて簡単に説明した。
「そうなの?私は今バスを待っているのよ。」
その少女は少年の疑問を解消するため、そう答えた。
「えっとー、もうバス出発したみたいだけど、大丈夫なの?」
「…………え?今なんて?」
少女は唖然とした様子で少年に訊ねてきた。
「次にバスが来るの7時間以上あとだけど、大丈夫なの?」
しばらくして、その言葉の意味をやっと理解出来た少女は勢いよく立ち上がり叫んだ。
「やばい!寝過ごしたーーーーーーーーーー!!」
これが、これから真尋の夏を鮮やかに彩る少女との出会いだった。