表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/5

プロローグ 最低の聖女。

異世界恋愛に挑戦。

温かい目で見てやってください<(_ _)>

新作です。







「き、キミみたいな女とは婚約破棄だ! ――次代の聖女だと聞いていたが、こんな荒くれ者を相手にしてたまるか!!」



 一人の年若い貴族男性が、そう言って部屋を飛び出していった。

 残されたのは同じく若い貴族令嬢と、その両親。令嬢を除いた二人は頭を抱えて、大きくため息をついた。

 そして父親は娘に向かって、一言こう口にする。



「リターナ……。どうして、お前はそうなんだい?」

「どうして、とは?」



 すると令嬢――リターナは、ちっとも分からないといった様子で首を傾げた。強気な印象を受ける端正な顔立ちに、少しだけ疑問の色が浮かぶ。

 長い金の髪は滑らかに、その動きに合わせて揺らめいた。

 赤い瞳で渋い顔をする父を見て、こう続ける。



「私は私の考えを伝えさせていただいたまでです。今回は残念ながら、ご理解いただけなかった、というだけではないでしょうか?」

「うん、まぁ……。わたしもお前の性格はよく分かっているつもりだよ」



  対して父は、ただ……、と言葉を一度切ってから言った。



「あまり、貴族の娘が貧困街に足を運ぶのは、いただけないと思うのだが。その辺りは、考え直してもらえないのかね?」

「…………」



 それを受けて、リターナは顎に手を当てて考え込む。

 そうなのだ。この貴族令嬢であるリターナは、頻繁に屋敷を抜け出しては王都の貧困街に赴いていた。しかも一度や二度ではない。

 幼いころから幾度となく、忠告を受けてもそれを繰り返していた。

 そのため、他の貴族からの評判は良くない。



「なぁ、母さんからも言ってやってくれないか」

「そうですねぇ……?」



 父親はそのことに悩み、ついに妻に助けを求めた。

 すると、おっとりとした仕草で母は頬に手を当ててから言う。



「リターナちゃんに、したいことがあるのなら良いんじゃないかしら?」

「お前までか……」



 ――が、どうにもいかなかった。

 がっくりと肩を落とした父は、生気のない目で娘を見る。



「なぁ、リターナ? 我がシンデリウス家は、この王都に長く続く貴族の家系なんだ。その娘の行いは、色々なところに影響が出るのだよ……」



 そして、最後の訴えを試みる。涙目で。

 するとそこに至って、リターナはこう言うのだった。



「なるほど……。たしかに、そろそろ限界ですね」

「おぉ! 分かってくれたか!」

「えぇ、分かりました。ですが、お父様? 明日――最後に一度だけ、貧困街に足を運ばせていただけないでしょうか」

「あぁ! 最後だな! 本当に、最後だな!?」

「はい、もちろんです。そして、どうか聞いてほしいお願いがあります」

「いいさ、何でも聞こうじゃないか! お前が破天荒をやめてくれるなら!」

「ありがとうございます。感謝いたします、お父様」



 父は歓喜する。

 これでようやく、頭痛の種がなくなってくれると。

 そして、肩の荷が下りたと言わんばかりに、しみじみとこう言った。



「うんうん、分かってくれて助かるよ。それでこそ――」



 心からの期待を込めたような、視線を娘に向けながら。




「次代の聖女に選ばれた、自慢の娘だ!」――と。









 王都には、教会の選定によって選ばれる聖女が存在する。

 神の言葉を聞くことのできる神官が、その赤子が生まれた時に告げるのだ。そして、次代の聖女として選ばれた少女こそ、リターナ・シンデリウス。

 その生誕は国民全員によって祝福され、絶大な期待を受けていた。



「ふぅ……。懐かしいな、あれからもう十八年か」



 その父こと、ダニエルは葉巻を吹かしながら目を細める。

 次代の聖女ながら悪名高かった娘の行いからも、本日をもって解放されるのだ。これ程までに心の透く出来事が、他にあるだろうか。



「ふむ……。しかし、リターナの言っていた願いとは、なんだろうか」



 と、そこまで考えてから。

 ふと娘が昨日、口にした言葉を思い出した。だが、



「まぁ、そんな大したことではないだろう」



 深く考えることは、なしにした。

 きっと、リターナもこれ以上は何もしでかさないだろう。


 そう、ダニエルは思っていた。

 その時だ。



「お父様、お願いがあります!」



 リターナが、勢いよく扉を開けてそう言ったのは。

 父が見るとそこには、娘の姿以外にもう一つ。小さなシルエット。



「な、なんだ!?」



 そして、目を疑った。

 立ち上がって見るとそこにいたのは、明らかに貧困街出身の一人の少年の姿。ボロボロの衣服に、ぼさぼさの黒い髪。清潔感など微塵も感じられなかった。

 そんな少年を見ながら、リターナはこう叫ぶように願い出る。




「この子――ダイスを、シンデリウス家に養子として迎えてください!」





 ダニエルの意識は、一瞬遠退いた。

 そして改めて思うのだ。自身の娘は、やはり――。





「最低の、聖女だ……」――と。





 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!


もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより☆評価など。

創作の励みになります。


応援よろしくお願いいたします!

<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「なろうらしくない小説(性癖)」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ