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幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)  作者: 雪月 桜
第1章 スタートダッシュ:CASEネネ

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悲劇

本日より、別シリーズ「もしも理想のパーティー構成に実力以外が考慮されなかったら?」を投稿します。よろしければ、そちらもご覧ください。

「こ、この悪魔めっ! お婆さんをどこへやったの!? めっちゃ怖くて不気味な人だったけど、あの人はネネちゃんの大事な師匠なんだからね! 傷付けたら私が許さないよ!」


目の前の悪魔が、どこからか侵入し、老婆に危害を加えたと判断して、みのりんは憤慨する。


が、咄嗟に構えた魔導銃の銃口はプルプルと震えており、内心ではビビっているのが丸分かり。


勝負度胸はともかく、悪魔だの、悪霊だのは、年相応に苦手なのだ。


「やれやれ、元気が良いのは結構だけど、早とちりは頂けないねえ」


「……へっ?」


しかし、悪魔の口から漏れた言葉は、なぜか老婆の口調と声、そのものだ。


そして、悪魔の輪郭がぼやけた次の瞬間、そこには老婆が立っていた。


「あたしだよ、あたし。悪魔の正体は、変身の薬を試してた、あたしさね。怖くて不気味で悪かったね」


「へ、変身の薬……。なんだ、そうだったのかぁ」


「まったく、活きが良いのも考えものだねぇ。もう少しで退治されるとこだったよ。ほらほら、その物騒なもんを仕舞っとくれ」


「う、うん。ごめんなさい」 


自分の勘違いを指摘され、みのりんは大人しく魔導銃を腰のホルスターに収める。


ちなみに、これだけ騒いでいるのに、トーシローとネネの二人は、ノーリアクションだ。


NPCのトーシローはともかく、ネネは話を聞くのに集中しすぎだろう。


「分かればいいさ。で、あたしに何か用かい?」


「いやぁ、ネネちゃんが説明を受けてて暇だなぁと思って。そうだっ、お婆さん。他にも面白い薬ないの?」


「そうさねぇ。まだ効果を試してない薬がいくつかあるが、あんた使ってみるかい?」


「いいのっ? やるやる!」


現実なら、まず間違いなくアウトな行為だ。


みのりんも、ゲームの中だからこそ、こうして無防備な対応を取っている。


良い子の皆は、知らない人(医者は除く)から貰った薬は絶対、飲まないように!


「それじゃあ、性別が入れ替わる薬、身長が伸びる薬、痩せる薬、別人になる薬、髪が長くなる薬……色々あるけど何が良い?」


「お胸が大きくなる薬はないの?」


「おーおー、一丁前に色気づいてからに。……そうだねぇ、豊胸の薬はないけど、歳を取る薬ならあるよ」


「じゃあ、それでっ! ふっふっふ、これで大人になって、私もナイスバデーに!」


期待に胸を膨らませる、みのりんだが、はてさて実際に大きくなるのやら。


そんな感じの視線を向ける老婆には気付かず、みのりんは一人、はしゃいでいる。


「大丈夫かのぅ。……まぁ、あたしが気にする事でもないか。ほれ」


「ありがとう、お婆さん! ではではっ」


老婆から、白濁色の薬が入った試験管を受け取り、中身を勢い良く喉に流し込む。


甘ったるい薬品臭が鼻を突き抜け、少し嫌な気分になるが、夢の巨乳を求めて何とか飲み干した。


すると、体がポカポカと暖まってくる。


「おー、なんか効いてる感じする! わっ、身長が伸びてきた!」


みるみる内に手足と胴体が長くなり、どんどん視点が高くなる。


現実だったら服が心配になるが、ここはゲームの世界なので、勝手に調整されていた。


そして、肝心の胸はというと……。


「ふっ、ふふふふふ、はーっはっはっは! ……一ミリも増えてないやないかっ!」


余りの絶望に笑いが込み上げ、試験管をペイッと床に投げ捨てる、みのりん。


しかし、中身が消えたことで使用済みアイテムとなり、試験管は光の粒子になって消えてしまう。


本当は叩き付けて憂さ晴らしがしたかったのだが、思った反応が返って来なかったせいで、ここでも不完全燃焼な気分を味わうことに。


「ううぅっ。ちくしょう、試験管まで私を馬鹿にしやがって……」


膝から床に崩れ落ち、恨み言を口にする、みのりん。


まったくもって冤罪である。


「うん、まぁ、なんじゃ。それは大人の姿をランダムに反映するものであって、決して未来の自分という訳ではない。気を落とすな」


「ぐすっ、ありがとう、お婆さん」


同じ女性として同情したのか、老婆が慰めを口にしつつ、みのりんの肩を叩く。


ここに来て、怪しげな老婆が、親切な老婆にジョブチェンジしていた。


「あれっ、どうしたんですか、みのりん……ん? みのりんですか?」


「あー、また、お婆ちゃんが何か失礼を?」


と、ここで、ようやく説明が終わったのか、ネネとトーシローが部屋に入ってくる。


「ううん、何でもないの。ちょっと、大人になれる薬っていうのを試しに貰っただけ。気にしないで」


「へぇー、面白そうですねっ! 私も試したいです!」


「いやー、そのう、止めておいた方が、ええんでないか?」


「何か不味いことでも? それとも在庫切れとか?」


「いや、ここに、まだ残っとるけれども……。流れ的に嫌な予感が……」


懐から試験管を取り出しつつ、躊躇うような素振りを見せる老婆。


「そ、そうですか? うーん、でも、せっかくですし、みのりんとお揃いで大人になりたいんですけど」


「……お婆さん。渡してあげて」


ここで、床に崩れ落ちていた、みのりんが、ゆらりと立ち上がる。


その鬼気迫る様子に、老婆がごくりと喉を鳴らした。


「い、いいのかい。もしもの事があったら」


「大丈夫。私は、ネネちゃんを、信じてる!」


一言、一言に、やたらと重い信頼を乗せつつ、みのりんが言葉を紡ぐ。


一方、ネネは、ここに来て不穏な気配を感じたのか、微妙に後退りする。


「え、ええっと、私やっぱり、そんなに興味……むぐっ!?」


完全に腰が引けていたネネの口に、試験管が突き刺さる。


いつの間にか、老婆の手から奪い取っていた、みのりんが投げつけた物だ。


その中身は、ネネの意に反して、どんどん体内に流れ込む。


ネネは目を白黒させ、口の端から僅かに白濁液を溢しつつ、それでも吐き出すのは嫌なのか、懸命に飲み込んでいく。


やがて、その中身を全て飲み干すと、すぐに効果が現れた。


「ぷはっ。もう、みのりん! 危ないじゃないですか! もう少しで溺れるとこ……みのりん?」


「う……」


「う?」


「裏切りものぉぉぉ!」


「ひゃうん!? ちょ、み、みのりん!?」


もはや、誰もが予想していたであろう結末。


ネネの胸は立派に成長しており、谷間には口の端から溢れた白濁液がこびりついている。


そのアダルティな見た目に嫉妬した、みのりんは、ヤケクソ気味に叫んで、ネネの胸元に顔を埋め、わんわんと泣き喚いたのだった。


……ちなみに、紳士なトーシローは、きっちりと目を背けている。


ただし、その耳と頬は真っ赤に染まっていたが。

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