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潜水館の殺人  作者: 菱川あいず
解決
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15/18

勝負

 犯人は,居間にできた「海」を,なるべく飛沫を上げないようにゆっくりと泳いでいた。


 格好は泳ぎやすいように下着姿であり,手には切れ味の鋭いナイフを握っている。

 すでに2人の命を奪ったナイフである。

 


 犯人が向かう先は,今日のターゲットがいる部屋,数字の2のナンバーが書かれた部屋である。

 

 犯人は目的の部屋の前までくると素潜りをした。


 そして,二郎のいる客室のドアノブを捻ると,ドアを引いた。



 ドアは何の抵抗もなく,いとも簡単に開いた。



 しかし,部屋の中にはすでに誰もいなかった。



 犯人は二郎がいるはずの部屋の中を隅々まで泳ぎ,二郎の姿を探した。



 しかし,二郎の姿はどこにもなかった。代わりに,二郎が着ていた洋服が浮かんでいる。



 このとき,犯人はようやく気が付いた。


 犯人が訪れるよりも先に二郎が部屋から脱出していることを。




 犯人は広間に戻ると,二郎の姿を探した。


 水面からは何も確認できなかったため,素潜りをし,決して良くない視界の中,二郎を探した。しかし,どこにもいなかった。



-そんなはずはない。


 この館の出入り口のドアは水圧によって開けられない状態にある。二郎が館から逃げたはずはない。


 それに,現在,二郎の部屋以外の部屋も,水圧によって密室となっている。

 二郎がいるとすれば,二郎の部屋か,もしくは広間しか考えられないはずだ。



-いや,待てよ。もう一つ開いている部屋があるではないか。



 このことに気付いた犯人は急に焦り出す。


 ダメだ。あの部屋にだけは二郎を入れてはいけない。


 あの部屋には,犯人しか使ってはいけない「秘密の道具」があるのである。




 犯人は急いでその部屋-犯人の部屋へと泳ぐ。


 そして,素潜りをし,ドアノブを引く。




-しかし,ドアはビクリともしなかった。



 その部屋はまた「密室」に戻っていたのである。




-やられた。



 ドアの窓から,自分同様に下着姿となっている二郎が,犯人に対して満面の笑みを見せる。



 犯人はこの殺人ゲーム-正次郎の遺産争いに負けたのである。


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