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人形の小屋  作者: ツヨシ
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9

俺は車まで走った。


走って走って走った。


そして車に乗り込むと、即座に発進させた。



途中でいまどき珍しくなった公衆電話を使い、警察に通報した。


山小屋の場所と、中でたくさんの女の死体と一人の男の死体を見たとだけ告げて、まだ何か言っている警官を無視して電話を切った。


もちろん俺の名前などは、一切言わなかった。



その日の夕方は、山小屋のニュース一色となった。


なにせ剥製となったたくさんの女の死体と、首を切られた男の死体が見つかったのだから。


死体がたくさん見つかったこと以外には、男は山小屋の持ち主であることや、匿名の通報があったことなどが情報として流された。


そののち警察は、状況から見て女を剥製にしたのはどうやら殺された男である可能性が高いことと、女たちは二つの市で行方不明となっていた女であることを発表した。


となれば、誰が一体その男を殺したのか。


匿名の通報者はただの通りすがりなのか、それとも事件の関係者か。


日本犯罪史上例のない猟奇殺人にくわえて、謎が謎を呼ぶ展開に、マスコミも世間もしばらくこの話題で盛り上がったものだった。


そしてこの俺はと言うと、その後の生活になんの変化もなかった。


通報は公衆電話からしたし、あの辺りは田舎で防犯カメラと言った気の効いたものはないし。


警察もマスコミも通報者を特定することは、まず無理だろう。


もう一言加えるならば、先ほど俺の生活になんの変化もないと言ったが、実は一つだけ変わったことがあった。


それは俺が森林浴に出かけても、あの山小屋の前を二度と通らなくなったことだ。



        終

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