0010
俺は姫様と辺境伯に連れられ応接室に来ていた。
俺は辺境伯とアリス殿下の対面に座っている。
「改めて、お初にお目にかかります、ユウキ王子殿下。私はクアル・バールドンと申します。」
「次は私よ、この前名乗ったけれどね。私はアルタイル皇国第一王女、アリス・ウェル・アルタイルです。気軽にアリスとお呼びください。」
「丁寧なご挨拶をありがとうございます。俺はユウキ、ユウキ・バハムート・アルカディア・アカツキ、この国の第一王子だ。よろしく頼みます。」
挨拶を交わしたあと本題へ。
「して、今回の褒美なのだけれど、まさか貴方が王子だと思ってなかったからどんな物がいいのか分からないのです。私に出来る限りの報酬は与えたいのですがどのような物がいいのか見当もつきません。」
その問に俺は
「それならその"報酬"は保留ということでどうでしょうか?俺が欲しいものが決まったら使う・・・・・的な感じでどうでしょう。」
「う~ん、それなら今すぐ決めなくても?分かったわ!その様にしましょう!」
え!?まさかの即決!?良からぬ事に使われるとか思わないのかこの人は!まぁ使わないけど
「わ、わかりました。で、この話はもう終わりですよね、それで、アリスさんはどうしてこの国に?」
「お?気になりますか?私の事が。」
別にそうは言ってないが
「私は貴方の弟君である第二王子との婚約のために来たの。」
え?なにそれ初耳なんだが
「ん?あいつにですか?まだ5歳ですよ?アリスさんは見た感じ俺と同い年、あいつにはまだ早いと思うのですが?」
アリスは肩を竦め
「それは私にもわからないわ。お父様が決めてしまったから。でも流石に5歳は・・・・・」
と言った。
「ですよね・・・・・あ、そうだ。アリスさん。後でお時間貰っていいですか?話したいことがあるので。」
「ん?いいですよ?」
頭の上にハテナマークを浮かべたアリスは了承してくれた。
「では後ほどお会いしましょう。」
俺はそう言うと蚊帳の外だった辺境伯に挨拶し辺境伯邸を後にした。
屋敷から出た俺は俺の龍鱗を採取する為に森に来ていた。その道中にワイバーン2体襲いかかってきたので討伐した。
そして森の中の湖があり、かなり開けたところに出た。
「周りに魔物の気配はないな。ここにしよう。解除」
俺は眩い光に包まれ光が収まると神々しい龍になっていた。あ、四足歩行のドラゴンだよ!
『よし、やろうか。・・・・・痛いんだよなぁ・・・・・』
喋りながら俺は自分の鱗を1枚剥いだ。
『痛っ!・・・・・くぅ、ヒール。よし治った』
魔法で治し人化する
自分の姿が人になったことを確認すると足早にギルアスまで去っていった。
「親方ー!指輪作ってくれー!」
俺は工房に着くなり叫ぶ。中から武器を作るのに協力してくれたアルデが出てきた。
「なんだぁ?指輪?お前結婚でもすんの?」
「いやしない。婚約するかもだけど」
「婚約だァ?お前は貴族かなにかと婚約すんのか?まぁいい。素材は?」
「うん、素材は俺の龍鱗」
「・・・・・またか。わかった、出せ」
俺は言われるがままに龍鱗を出す。
「では待ってろ、作ってきてやる。1時間で出来ると思うからな。」
1時間か・・・・・それまでここで待ってよう。
1時間後、アルデが戻ってきた。
「おい出来たぞ。これだ。」
俺に箱を手渡してきた。指輪入れだった。箱を開けるとそこには・・・・・
う、美しい。シンプルでありながら気品さを感じさせる指輪に紅蓮に輝く魔石が一つあしらわれている。うん!
Simple is the best!
シンプルが一番!綺麗だ!
「あ、ありがとう。まさかこんなにいいものができるなんて・・・・・」
「いいってことよ、で、余った龍鱗なんだがどうする?」
「余った龍鱗?ああ、それなら黒いフードなしのローブに龍鱗を染み込ませて強度をあげたやつを作ってくれ。俺の鱗だから魔力の通しもいい。いい防具になるからな。」
「わかった。そのようにしよう。」
「ああ、ほんとにありがとな。じゃぁ行ってくる。」
俺は辺境伯邸に戻っていくのであった。