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一般ファンタジー小説

ヴァンパイアの星

作者: 藍上央理

 あなたに出会ったのは、遙か昔。私がまだ少年であった頃のことだ。私はあなたからすればずっと年下で、鼻にもかけてもらえない存在だと思っていた。けれど、それは違った。

 あれから、どれほどたっただろう。あなたが私の前から消えてしまって、早幾歳〈いくとし〉も過ぎてしまった。

 私はあの頃のままの姿であなたを探している。

 知ってる? 星にもあなたと同じ異形のものがあることを。ほかからエネルギーを吸い取り、若々しく、何百年と生きながらえる、吸血鬼のような存在。

 私は探している。あなたの消えたこの国の、溢れんばかりの人間の中から、ひっそりと姿を馴染ませている、あなた自身を。

 復讐? いいや、違う。私はあなたに確かめたいだけ。あなたと同じものを作り出して、なぜ、おいていったのか。あなたに会えぬ、このもどかしさと切なさを、あなたに訴えたいのだろう。

 関係のない君にだから話せた。なぜって? 今から君のエネルギーを吸い取ってしまうからさ。きっと誰にもこのつぶやきを漏らすことなく君は永遠に黙るだろう。

 空には幾万もの星が、恋人を隔てた川になっている。

 地上において、あなたと私を隔てる人間を、少しでも減らしておくとするか……。


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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです! 「私」さんが「あなた」に焦がれるあまり、沢山の「人間」 からエネルギーを吸い取り「永遠に黙」らせる事に、躊躇いがなくなっている……! と感じました。相手のエネルギーも残り…
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