1. 誕生
思い切って書き始めてみました。どうぞ宜しくお願いします。
彼――安曇明一は、幼少の頃より周りの子とは違っていて、その異常性の片鱗を見せていた。言葉を話すのも、歩き始めるのも、全てが早かったし、その水準も凡そ同年代の子供とは比べようもないほど高かった。
「まぁま、ぱっぱ!」
と生後半年程度で言葉を発したかと思えば、
「おかあさん、のどかわいた!」
と生後十ヶ月にもなればある程度話すことができるようになっていた。
「おぉー!喋ったぞ!」
「うふふ。私達の子供はどうやらとても賢いようですね。」
とは両親談である。しかし、まさかこの子供が世界中の国々に影響を与えるような人間に育つとはこの時の両親も流石に予想していなかったであろう。
このように非常に早熟な子供であったのにも実は訳があったのである。彼は前世の記憶を僅かながら持って生を受けていたのであった。しかしながら、本人にその自覚はない、どころか今後の人生でもはっきりとそのことに気づくことはないであろう。そんな彼の幼少期は、この時代の他の家に比べると些か恵まれているといえる環境にあった。
彼は1868年12月11日、雪の降る寒い夜に東京の安曇家で産声を上げた。彼の家である安曇家はそこそこ名の知れた名家であったことや、彼がこの家の長男であったことから、親はこの明一のことを事ある毎に気にかけたため、とても高い水準の生活をすることができ、豊かにすくすくと育っていった。その間、特に兄弟が生まれることもなく、親の愛を一身に受けて良好な人格形成をしていった。
彼のお気楽な生活は地元の小学校下等科に入学するまで続いたのであった。




