2月11日〜20日
『霊感』(2月11日 万作)
これほどまでに第六感を欲したことがあっただろうか。僕は未だ嘗てないほどに君に焦がれたまま動けずにいる。何故いなくなってしまったんだ。故意ではないことは分かっている。それでも恋い焦がれていた僕の気持ちは、もう何処にもいけやしないじゃないか。
『素朴』(2月12日 プリムラ・マラコイデス)
素朴なのが1番なんだよとその人は言った。それが褒め言葉なのか慰めなのかは分からなかったが、何故だかストンと私の胸に収まるほど耳に優しい言葉だった。素朴であること。それは世界を知る度に難しくなる。本当の私を守ることだから。
『慈愛』(2月13日 金盞花)
君のその眼差しだけで僕は寿命が延びていく思いだ。それほどまでに君の瞳は優しさで溢れていて、誰が見たって心が満たされるような温かさで、僕だけのものに出来ないのが惜しいと思ってしまう。でもこれで良いのだろう。君は誰からも愛され愛すべき人だ。
『逆境に耐える』(2月14日 カミツレ)
今が勝負どころだと心得ている。負けるか。負けて堪るものか。だって今挫けてしまったらきっとあなたは振り向かない。お願い。少しでもいい。私の想いを切り捨てないで。あなたへの想いを込めた、この甘く蕩ける囁かな願いを、どうか、どうか。
『純潔』(2月15日 雛菊)
あなたの為に綺麗なままでいれば良かったと後悔したことだらけだった。それほどまでにあなたは一片の穢れもない天使だった。どうしてそんなに真白なままでいられるのだろう。私はあなたの傍にいるほど自分の薄汚さを呪うのだ。釣り合う私でいたかったのだ。
『待望』(2月16日 蕗の薹)
待ち望んでいた、あなたに会えるのを。今か今かとそわそわして。会いたくて会いたくて堪らなかった。すぐ傍にいるのに触れられない、世界で1番の一方通行。もうすぐ、もうすぐだね。あなたに会えるんだね。きっとこの痛みの先に待つ幸せは私達だけの物。
『純潔』(2月17日 スノーフレーク)
汚れなき無垢。その瞬きから零れる光の粒は幸せを振り撒いている。一挙手一投足が誰かの笑顔を誘い、その軽やかな声は生への歓びを歌っているようだ。この存在は誰にも壊されてはならない。守るのはこの私。私だけが彼を守ることが出来るのだ。
『栄誉』(2月18日 金鳳花)
誰に認められなくても良かった。そう言い聞かせていたはずだった。なのにどうして。いつからこの手はそんなものの為に言葉を探すようになってしまった?僕はもう一度歩き始めなければならないかもしれない。誰の為でもない、自らが自身を幸福にする為に。
『小さな幸せ』(2月19日 菫)
「これ食べてみて」差し出された小箱に入ったたっぷりの紫の花。「いやいや、花なんか食べられないでしょ」「食べられるよ、食用だもん」君は一つを口に運ぶ。ぱくんと消えた花に甘い甘いと頬を緩ませる。「頂戴」君の手から一片の甘さ。ああ、幸せだ。
『大きな希望』(2月20日 カルミア)
それはまるで大海原のように。それはまるで光り輝く太陽のように。それはまるでこの手には収まらない星一杯の夜空のように。明日への、未来への熱を静かに燃やす若人のように。いつか私の胸にも宿るだろうか。その熱を抱けるような覚悟、資格は。