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5月21日〜31日

『心変わり』(5月21日 ボリジ)

あなたが記した紙切れの全貌は良く覚えていない。記憶にあるのはその端っこ。緑の枠だけが異様に光っているようだった。もうそれも過去の話。あなたの心変わりが原因だった。季節の移ろいのように人が変わるのは止められない。瑠璃色の寂しさに再出発を誓った。



『好みの良さ』(5月22日 フクシア)

「カルメン、サウスゲート、エンジェルス・イヤリング、スウィングタイム、ダテムラサキ、マリンカ」「なに?それ」「この花達の名前。フクシアって沢山種類があるんだ」「へぇ、どれも綺麗ね」「お目が高いね。良い好みだ」「私を見初めたあなたみたいに?」



『元気を出して』(5月23日 アマドコロ)

些細なことで落ち込んだ僕を見つけるのが君は本当に上手だ。昔からかくれんぼって得意なんだよね、と君は笑う。隠れるのは下手糞なのにな、と僕も笑う。減らず口を叩いて巫山戯あって、それが君の優しさ。元気出して、なんて言えない君の不器用な優しさ。



『思い出』(5月24日 麦藁菊)

遠い夏の記憶。裸足で駆けていく君の後ろ姿と日に焼けた肌を思い出す。大切に仕舞い込んだ胸の中で、今も鮮やかに輝いている。また今年もやって来る。また今年も君に会えるだろうか。七度目の夏、僕は奇跡を起こせるだろうか。君を現実世界に引き戻す奇跡を。



『何も変わらない』(5月25日 アスパラガス)

僕らの時間の流れはずっと昔から緩やかで、変化する必要も意志もなくて、それでいいと思っていた。それがいいと思っていた。僕が大人になっても、君がいなくなっても、そのスタンスは変わらない。僕らの関係は何も変わらない。変えないから。



『目覚め』(5月26日 山葵)

君との生活はとても刺激的だった、と言ってその人は去っていた。とても楽しかった、けれどこれ以上は僕の心身が持たないんだ、と。私は黙ってその人を見送る。私を必要としない人なんて私の方から捨ててやったんだ。

世界はまるで違って見える。夢から醒めたように。



『約束』(5月27日 白詰草)

叶わなくてもよかった。あなたとの未来が在ることだけが救いだった。それが私の支えで、生きる意味だった。幸福の4枚目なんて見つからなくても、きっとずっと幸せでいられた。だからどうか結んでください。あなたの心の全てで誓ってください。今だけでも、いいから。



『誇り』(5月28日 アマリリス)

誇りを持つのは容易いことではない。それは簡単に傷付き、錆び付いてしまうもの。だから守らなければならない。戦わなければならない。自分の為に、自分を想ってくれる誰かの為に。失われることなんてない、自分だけの「輝き」を育てていく為に。



『純愛』(5月29日 撫子)

美しいものを手に入れた。君を想い、君に想われる、悲しくも苦しくも切なくもない、ただただ美しい愛を。この世のマイナスなんて存在しない、僕と君だけの物語。純度100%、混じりっけなし。なんて素晴らしい。それでも足りないと君は泣くから120%を目指そうか。



『平和』(5月30日 オリーブ)

この世界に争いの種がなくなることなんてあるのだろうか。どんなに美しい調べがあれど、どんなに儚い物語が紡がれど、きっと争う人々の心が凪ぐことなんてないのかもしれない。それでも僕らは目指すんだ。誰も傷つかない日常を。誰も泣かない夜の帳を。



『貪欲』(5月31日 ルピナス)

あなたを求める私の喉は、渇いて乾いて仕方がない。醜くも思えるほどの貪欲さで、あなたを欲して止まない心臓と、そこから流れる血潮が全身を支配して、私はまるで松明のよう。自分の熱に焦がされて、更にあなたを求めている。潤すのはあなた。あなただけなの。

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