4月21日〜30日
『暫しの憩い』(4月21日 ミヤコワスレ)
張り詰めていた糸がぷちんと切れて落ちた。今まで頑張ってきたじゃないか。その反動だよ。仕方がないことだ。暫く休めばいいさ。そんな励ましにも気持ちは沈んだまま悲しみの雫が零れる。俯いた先にあった美しくも可憐な姿。憩うのも悪くはないのだろう。
『燃える思い』(4月22日 山ツツジ)
熱く燃えるこの心から溢れて止まらない想いを受け止めて欲しかった。喜びも悲しみも何もかも、あなたの為だけに抱いていたの。向こう側へ連れて行ってくれると信じていた。きっと、今も。あなたも同じ想いならいいのに。教えて欲しい。その想いの温度を。
『私の思いを受けてください』(4月23日 ハナミズキ)
伝わりましたか。届きましたか。僕の小さな想いのほんの欠片でもいい、あなたの心の隙間からそっと忍び込んで、奥底にひっそりと降り積もっていけたなら。いつかそこに僕の秘密基地が出来上がればいいなと思ってしまうのです。
『恥じらい』(4月24日 芍薬)
そんなものとっくに失くしたと思っていた。もういい歳のオバサンになってしまって、日常は変化や刺激とは皆無で。あの頃のような可憐さは何処かに置いてきてしまったのに。あなたを前にするといつだって少女の私に引き戻される。恥じらいを隠せない乙女になるのだ。
『反抗』(4月25日 シャガ)
睨み付け、噛み付き、吠え立てる。鎖に繋がれた哀れな獣のようだ。命を賭した反抗にお手上げの職員共に感謝しながら、僕はその鋭い牙と爪を恐れない。君の瞳に僕が映るようになるまで何処までもいつまでも付き合ってあげる。君が降伏するまで何度でも君を迎え撃つ。
『不幸な愛』(4月26日 スカビオサ)
この恋路の行く末が待つのは不幸だと知っていた。それでももう引き返すことなど出来なくて、例えあの日をやり直すことが出来たとしても私は何度だってこの道を選ぶに違いなくて。世界中の誰もがこれをバッドエンドだと言っても、私は幸せだと叫んでみせる。
『完全な美』(4月27日 白根葵)
完璧になれたはずだった。私を見る者全てを魅了する程の美しさを手に入れたはずだった。なのに君はどうして振り向かないの?君が私を見てくれないと「完全」にはなれないのに。何が足りないと言うの。教えてよ。君の為なら幾らだって私を作り変えられるから。
『初恋』(4月28日 日本桜草)
初恋は実らない。そんな迷信が怖くて私は未だに恋を知らずにいる。ときめきも不安も焦燥も、恋に所以するマイナスを煩わしさだと一蹴する少女達が羨ましく輝いて見えた。でも私は叶わない恋などしたくない。どうせなら誰もが認める大団円で。そんな初恋を夢見てる。
『歓迎』(4月29日 藤)
やぁいらっしゃい。待っていたよ。寂しかったけどその甲斐があったな。飲み物は…ダージリンのオレンジペコなんてどうだろう。残念ながらオレンジの味はしないけれど。君の好きなミルクティーにしよう。お供にスコーンは如何?藤のような君の到着を祝した宴の始まりさ。
『博愛』(4月30日 梨)
あなたが特定の誰かを愛せないことは知っていた。それでもいいからと傍にいて、全ての人に愛を注ぐあなたを支え続けてきた。そんな自分を誇りにも思っていた。幸福だって言い聞かせて。でもやっぱりそれじゃ駄目なんだ。あなたを独り占めしたくなる。僕だけを見ていてよ。




