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あの世の行きの電車  作者: 林 秀明
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バンジージャンプ

咲たちはまた歩き出した。歩く度にコインが当たる音が聞こえる。咲は妙に心に響いて落ち着いた気分になった。


「けっこう重いね」咲は呟いた。


「それが命の重みだよ。コインが増える事によって重みも増えるんだ」


「そうなんだ、そう言えばずっと自分が生きたい、帰りたいってばかり言ってごめんね。自分の事ばっか考えていた。翔ちゃんは……」


「……いいんだよ。お姉ちゃんは生きる権利があって、僕にはない。それだけだよ。」


「翔ちゃんも現世に帰れる方法はないの?」


「無理だよ。因果は変えれない……」翔太はとぼとぼと前を歩いて行った。



「次はここだよ」


翔太に案内されて着いた場所はバンジージャンプのアトラクションだった。階段が上まで続いており、上空は暗く不気味な雰囲気を醸し出している。


「えーっとビルの七階くらいの所からジャンプするんだって。成功すれば十五枚のコイン獲得。なお……」


翔太は案内書を読み、そう答えた。


「さっきのよりはいけそうね。バンジーは遊園地で何度かやったことあるし」


咲は安心しきった顔で言った。


「それがうまく行かないんだよね……」


「ん……何か言った?」


「ううん、なんでもないよ。階段の所まで一緒に行こ」翔太は少したどたどしく言った。



階段の下まで来ると上は思ったよりも高かった。少し足がぶるっと震える。


「咲姉ちゃん、こっちで準備するんだよ」


翔太の所へ行くと小さい交番所くらいの建物があり、中にはヘルメットなどが見える。横には黒いフードを被った人らしきものも居た。


「ひっ!!」咲は少し後ずさりをした。


「このアトラクションの案内人だよ。声をかけなければ危害を加えないから大丈夫だよ。案内人がジャンプの準備をしてくれるからさ」


翔太は咲の背中をポンと軽く押した。内心わざとやっているんじゃないかとまた不審に思う。案内人から安全装具を付けられ、咲は建物から出てきた。装具が咲の身体にしっかりと固定しており、咲は動きにくそうだ。


「最近太ったんじゃないの?」


「うっさい!!」咲は翔太にふんと顔を向けた。


「冗談だよ。上まで一人で頑張って行ってね。下の着地地点で待ってるから。ここの攻略のヒントは…結局、人は弱い生き物だよ」


「バイバイ」と言って、翔太は向こうへと走って行った。あの子は私を助けてくれるのだろうか。それともただの遊び相手なのだろうかと考えてしまう。



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