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あの世の行きの電車  作者: 林 秀明
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最後のアトラクション

「次はどんなアトラクションなの?」咲は前を歩く翔太へ声を掛ける。


「最後は遊園地定番の観覧車!!と言っても普通じゃないんだけどね」


「何が普通じゃないの?」


「行ったらわかるよ」翔太は俯きながら言った。


咲は前を歩く翔太を眺めた。自分はこのアトラクションをクリア出来れば無事現世へと帰る事が出来る。それが出来ずに生きたくても生きられない翔太の想い。なんとか彼を救ってやれることが出来ないのか。遊び相手がいなくなるのも寂しいのだろうと……巾着袋に入ったコインを片手に咲は思った。


「さぁ着いたよ」


目の前をみると直径百メートルほどの大観覧車が動いていた。その奥に湖が面しており、観覧車の光に照らされて、濁った水が映し出されている。魚が生息しているのだろうか。水面には時折波がたっていた。


「この観覧車に乗って咲姉ちゃんが無事戻ってこれたらお姉ちゃんの勝ち。コイン四十九枚を獲得し、お姉ちゃんは現世に戻れる。失敗した時は……分ってるよね。」


咲は黙って頷く。ここまで乗り越えられてきたのだから、絶対に出来ると自分に言い聞かせた。観覧車乗り場近くの看板に目を向ける。「やみのじゅうみんとあそぼう」と子供が描いたであろう字が妙に気にかかった。


「じゃあ、行こう」翔太は咲の袖を引っ張った。


「翔ちゃんも来るの?」


「うん。お姉ちゃんと行った方が楽しいし、それに僕死んでるから何かあっても平気だよ」


翔太の声は明るかったが、何か寂しいような気持が伝わってきた。


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