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あの世の行きの電車  作者: 林 秀明
11/18

翔べ

頂上に辿り着いた。風が弱まっていて声は聞こえなくなったが、足は重かった。怨霊が重力となって足にまとわりついているのだろうか……落下地点場所へ辿りつき、腰に特殊なゴム製のロープを繋がれる。


これで落ちたら私もヨーヨーみたいに行ったり来たりみたいな事になるのだろう。落下地点からつま先を出す。足場がないという事がこんなに不安で怖いものなのか。


両手は手すりにしがみついているが、強い風が吹くとすぐに煽られ落下しそうになる。下を見るとマットが敷かれているが、それ以外に何かいるような気がする。一層怨霊の声が風に混じって蠢いているような気がする。


咲は両手を離し、鳥のように自由になった。そっちのほうが何かに縛られずに済むと考えたからだ。風にまかせ頭から一気に落下をした。


 頭が考えるよりも先に気が付いたら下に落下していた。一番下へ行くとゴムの反動でまた上へと上がる。その繰り返しを何度かしてようやくマットに辿り着いた。汗が出ていたが今度は涙が出ていなかった。マットから降りる時少しわき腹が痛かった。ロープの反動で少し痛めたかもしれない。


「おめでとー。お姉ちゃん十五枚のコイン獲得だよ」翔太は嬉しいのか何とも分からない感じで言った。


「生きるって……たいへんでしょ」


「うん…そうだね」咲はわき腹を抑えながら言った。いつの間にか足取りは軽くなっている。


「お姉ちゃんには酷だけど、次行こ。時間もないし……」


「そうだね。分かった」咲は無理やり笑顔をつくって言った。


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