1/18
はじまりのはじまり
「ねぇ、いっぺん死んでみる?」
カンカンカンと鳴り響く線路の向こう側で少年が呟く。顔は見えないが、悲しそうな声に咲は恐怖を感じた。あなたは誰?そして私に何か用?そう思った瞬間目の前に突然電車が横切り咲ははっと目が覚めた。
「はぁはぁ、何だったの、今のは?」
真冬だというのに寝汗をかいてしまった。今までこんな事は一度もなかったのに……
ぼさぼさの前髪を上げ、額の汗を拭う。ねっとりとした汗が指に絡みつき、不快な感触が指先から脳へと伝わってくる。時計を見ると時刻は夜中の二時十分。窓を見ると外がとても寒いせいか、窓が曇っていた。