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23)魔法が効かない一族


 広大な世界のどこかに、魔法の効かない特殊な一族がいる。その一族はみな深い霧のような白い瞳を持ち、生き物の寄り付かない呪われた土地に住んでいた。


 そして、どんなに強力な魔法でも身体に触れた瞬間に無効化させる力を持っていた。


 なぜそのような特異で異質な一族が誕生したのかは諸説あるが、最も有力な説は、その一族が長年住んでいる場所と進化により生まれたという説である。


 彼らの一族は元々、太陽の光が降り注ぐ肥沃な大地で生活していた太陽の一族であった。しかし遥か昔、大陸を巻き込むほどの大戦争が勃発し千を超える種族が避難のために大陸を横断したことがあった。


 その中に少数ながら太陽の一族がおり、彼らは土地の獲得競争に負け続けて辺境のさらに辺境の地へと足を踏み入れるしかなかった。その土地は耐えず高濃度の魔素(マナ)が吹き出し、強大な魔物が多く蔓延る呪われた地であった。人間が住むことの出来ない土地で太陽の一族は生きることを強いられ、そして適応していった。


 彼らはまず体質を変化させた。太陽族である彼らは太陽の光を吸収して生きていたが、太陽光の代わりに魔素を吸収してエネルギーに変換するよう進化したのだ。そして蔓延っている巨大で攻撃的な魔物を狩るため、狩りの技術が飛躍的に発達していった。


 皮肉にも、進化し適応することで彼らにとって脅威であった魔素と強大な魔物は、いつの間にか生きる上で欠かせないものとなった。


 太陽族は作物を育てることが得意だが、高濃度の魔素のせいで並みの作物は全て枯れてしまう。そのため、彼らはその土地にしか生えない魔素を多く含んだ毒草や薬草を栽培するようになった。それらを収穫して乾燥させたあと、村や町へ赴いて売ることでお金を得ていた。


 魔素の影響か、進化の弊害か、はたまた土地の呪いのせいかハッキリしないが彼ら一族の瞳は白く濁った色を呈した。そして、もはや太陽族とは呼べなくなった彼らの身体は、生きる上で高濃度の魔素を必要としたため他所の土地で生活することが出来なくなってしまった。


 特異な一族が存在するという噂が広がり、魔法使いは戦慄した。魔素は魔法の元である。その魔素をエネルギーに変換するということは魔法が一切効かない可能性があった。そのため魔法使いたちは一族の子どもを攫い、研究し始めたのである。


 その結果、彼ら一族は魔法を無効化するのではなく、かけられた魔法のエネルギーである魔素を身体に取り込んでしまうため魔法が発動しなくなるというものであった。それ故、魔法使いたちは彼らには一度に吸収できる魔素の量に限界があるのではないかと考え、非道な人体実験を行った。


 攫った一族の子どもに向けて、無数の魔法を長時間かけ続けたのである。その間、子どもは魔素を通さない物質に縛り付けられ身動きすら許されなかった。しかし、どれだけ大量の魔法をかけ続けても、強力な魔法をかけてもその子どもに魔法がかかることは一度もなかった。


 不思議に思った魔法使いが子どもを調べると、吸収できなかった魔素は一度身体に取り込まれたあと足の裏を通して地面に流していることが分かったのだった。それを受けて実験は変更され、今度は子どもを宙づりにして魔法をかけ続けたところ、その子どもは涙を流した。


 その涙には考えられないほどの魔素が込められていたため、魔法使いたちはこの涙のことを”呪い子の涙(カルナフルードゥ)”と呼び、様々な魔道具に用いたという。


 後にこの非人道的行為は内部告発により公に露呈し、魔法使いたちは多くの非難を浴びた。しかし、”呪い子の涙(カルナフルードゥ)”は非常に有用性が高く便利だったため人々は手放すことが出来なかった。


 実験で得たすべての涙は大切に保存され、現在は厳重に封印されている。忌まわしい歴史を繰り返さないために。



これにてネタ投稿は終了いたします。

気に入った話が少しでもあれば嬉しいです。

ありがとうございました。

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